2004(H16)年
9月27日(月曜)
第2594号
グランプリに佐野雅弘氏(ガステック)
GHP・マイクロコージェネ論文コンテスト

第10回記念発表会52人の強豪集う
需要拡大・電化対抗へ

 「第10回記念/平成16年度GHP・マイクロコージェネ販売事例論文コンテスト」(GHPコンソーシアム主催、石油化学新聞社/プロパン・ブタンニュース後援)の入選作が決まった。応募論文総数52点の中から、グランプリ(最優秀賞)には最高得点を獲得した業務用部門の佐野雅弘氏(ガステックサービス西三河支社、データ計測で発掘する新たな市場、37歳)が輝いた。コーヒー店のエネルギー使用実態を計測した上で5`hマイクロコージェネを提案し、電気・熱・お湯のバランス利用などユーザーの経済性発揮と同時に、需要拡大に成功した導入事例。金賞は業務用・石川博紀氏(日本瓦斯浦和営業所)、家庭用・山本一子さん(日本瓦斯土浦営業所)、産業用・鈴木貴雄氏(ガステックサービス仙台支店、33歳)が獲得した。今年は公募規定の入選作15点に加えて、第10回大会を記念する特別賞として「第10回記念賞」、さらにはLPガス業界待望のマイホーム発電・ガス発電住宅の初年度実現で「エコウィル元年賞」、GHP3兄弟のすそ野拡大や真摯な提案活動に向けた「販売店賞」「激励賞」など全受賞作は31点となった。女性3人が入賞した。【論文コンテスト総評特集は4面】



石油化学新聞社 成冨会長が相談役に

 石油化学新聞社(本社・東京、成冨治社長)は17日に臨時株主総会と取締役会を開き、成冨健一郎代表取締役会長の退任を決めた。成冨氏は21日付で相談役に就任した。

 成冨健一郎氏は大正11年9月21日生まれの82歳。昭和29年4月1日、石油化学新聞社を創業し、代表取締役社長に就任した。翌30年2月にはわが国初のLPガス業界専門紙「プロパン・ブタンニュ ース」(週刊)を創刊。同年には大阪支社、名古屋支局、福岡支局を開設し、LPガス業界黎明期の報道を全国規模で開始した。同年12月には兄弟紙「石油化学新聞」(週刊)を創刊して、LPガス業界と石油化学業界の発展に報道を通じて貢献してきた。

床暖軸に500`挑戦
三井石油ガス新戦略を推進

 三井石油ガス販売は今秋から、快適・経済的・健康の“3K”ををキーワードとしたLPガス需要開発戦略「新トリプルK」にグループ挙げて取り組む。具体的には、ガラストップこんろによる厨房用需要の拡大、多機能給湯器・高効率給湯器による給湯需要の拡大、そして床暖・浴乾による暖房・空調需要の拡大にトライし、1世帯あたり年間消費量の500`c突破を目指す。
 床暖については、遠赤・マイナスイオン・抗菌・滅菌の四特徴を備え、施工が低コストの高付加価値床暖を韓国メーカーと共同で開発を進めており、間もなく普及・販売体制を整える。同社はこの「新トリプルK」作戦を電化対抗戦略の中軸に掲げ、「快適で健康的、しかもエコノミーなエネルギー」たるLPガスのイメージアップを図る。

広域大手卸売
小売価1立方30円値上げへ
南関東でも検討本格化

 広域大手卸売各社は、CP高騰を受けた元売仕切り価格の上昇を受け、卸売価格と、地域小売会社でのLPガス小売価格の値上げに向けて動き出している。
 東日本市場を主力基盤とし直販消費者を30万戸を持つ大手卸売は、すでにCIF連動制で値上げを行っている卸売価格に加え、LPガス小売価格についても10月から1立方b30円程度(地域によっては20〜40円)の値上げを決定。18日開催の支店長会議で各地域の進行状況を確認のうえ徹底を再指示した。値上げ額の30円は、20円がこれまでの仕入れ上昇分、10円がすでにほぼ確定している今後の上昇分。
 同社は小売価格の値上げについて「LPガス料金の透明性は、都市ガス・電力の原料費調整制度と同様に、仕入れ価格の上下に応じて上げ下げを明快に実施することで確保される。今夏は酷暑で販売量が伸びなかったが、今後は需要期に向かうので、対応を誤ると収支上大変な事態になる」としている、

視点

「太田事故」は氷山の一角
容器くず化の適正処理を

 群馬県太田市のLPガス容器などリサイクル工場爆発事故は、鉄鋼製品の品薄が続く中で起こった。
 国内鉄鋼メーカーは不況を脱出するため、合併・国内工場の統廃合など合理化を強力に推し進めてきたが、最近では中国経済の好調さを受け、逆に粗鋼生産量が需要に追いつかない状況となり、国内でも製品の品薄が深刻で、価格上昇を招いている。
 20年前後とされる耐用年数に達したLPガス容器も原材料としてリサイクル業者から注目されており、関係者によると、くず鉄のメーカー引取額はトンあたり2万〜3万円と従来の4〜5倍に跳ね上がっている。
 群馬の事故はそんな社会背景の中で起こり、昨年、茨城県のスクラップ工場で発生した同類の事故を含め、改めてLPガス容器くず化の適正処理が求められている。
 LPガス容器のくず化処理は昭和45年4月15日付の通産省通達で「適正な処理を行うこと」が定められ、高圧ガス保安法第56条に「くず化その他の処分」が定められている。LPガス容器は現在、産業廃棄物扱いになっていないが、リサイクルできるため、容器メーカー団体の日本溶接容器工業会では昭和51年に「LPガス容器処理認定事業所制度」を制定し、くず化の過程で発生する可能性のある災害事故の防止に努めてきた。また工業会は今年1月に「LPガス容器くず化処理マニフェスト」を作成し、LPガス流通団体に協力と理解を求めていた。
 関係者によると、認定事業所で正規にくず化されるLPガス容器は年間50万〜60万本。耐用年数を経過したLPガス容器は毎年240万〜250万本に達するとされるため、正規ルートの処理は2割強に過ぎない。このため、関係者は「今回の事故は氷山の一角に過ぎない」と指摘する。

「GHP3兄弟」で広がる提案
第10回記念 平成16年度
GHP・マイクロコージェネ販売事例論文コンテスト

総 評
エコウィルに期待大
論文のレベル向上一段と

GHPコンソーシアム技術顧問
山岸一夫氏

はじめに
 平成16年度GHP・マイクロコージェネ販売事例論文コンテストは第10回目の記念すべき年にふさわしく、大変充実したものとなった。年々、レベルは向上しているが、今年は一段とその感が強い。
 この大きな要因としてGHPに加えて、マイクロコージェネとエコウィルの登場が挙げられる。つまり、「GHP3兄弟」の登場である。提案活動がより一層多様化し、厚みのある提案が可能となり、それにともないレベルも向上した。特に家庭用市場で、強力な電化攻勢の守勢に立たされているガス市場・地域では、有力な対抗手段となりうるエコウィルへの期待が大きく、非常に積極的な取り組み姿勢がうかがわれる。

盛り上がる秋のガス展 電化対抗鮮明に

 北海道LPガス業界の2004秋のガス祭が本番を迎えた。札幌では8月末の住商第一石油ガスに続いてエア・ウォーター・エネルギー、岩谷産業、北ガスジェネックスの大手が相次ぎ感謝祭などを催し、大勢の人手で賑わった。北海道業界は今年度、ガラストップこんろの拡販作戦に挙げて取り組んでいる。そのため、各会場では電化対抗を鮮明にした調理実演に加え、クリーンかつ分散型エネルギーであるLPガスの新たな用途としてマイクロコージェネの紹介コーナーを設けて広報を展開するなどの工夫も見られた。

クサネン
簡ガスで初の「暖房契約」
ハイブリッド・カウンタ採用 3団地254地点対象に

 クサネン(本社・滋賀県草津市、大道薫社長)はこのほど、東洋計器のハイブリッド・カウンタ「HyC−5」を使用した簡易ガス団地向けの選択約款を近畿経済産業局に申請、受理された。「家庭用ガス暖房契約」として電化対策と暖房機器拡販、需要促進に役立てる。HyC−5利用の選択約款は中国、関東、中部で相次いでいたが、近畿では初めての事例である。
 対象は松陽台団地(草津市、90地点)、東新浜団地(同79地点)、リバティヒル栗東(栗東市、85地点)の3団地254地点。

有力各社、ガスファンヒーター積極拡販
猛暑の落ち込みカバーへ

 東海・北陸地区の有力LPガス事業者が、例年以上にガスファンヒーターなど暖房機器の拡販に積極的に取り組む。単位消費量アップを図ることや、今夏の猛暑による家庭用ガス消費量の落ち込み分をカバーすることが目的だが、ファンヒーターの性能やデザイン性が高まったことも要因の一つ。特にユーザーの健康志向から、除菌イオン搭載のファンヒーターに注目が集まっており、「暖めるだけの暖房機器」から「マルチに使える暖房機器」へと、市場ニーズも変化しているようだ。

講演
中日本担当部長
丹羽正美氏

ガスこんろ「生活常識」に

 ガス業界では「オール電化攻勢にいかに対抗していくか」という大きな問題がある。その攻勢に打ち勝つには、ガス事業者の原点である「厨房」のガス需要の防衛であり、オール電化転換のきっかけとなるIH調理器の導入を許さないということに尽きる。
 電力会社の戦術は、以前はIHを武器に「火を使わないので安全」などとPRし普及に努めたが、今では「エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯器)を提案するとIHが必ずついてくる」というのが家電販売業界の新しい定説になっている。「エコキュートを使えば電気代は月々1,400円」など、光熱費が安くなることをオール電化の訴求のポイントに置いている。
 IHと対抗し、ガスが勝つための必要な条件は「省エネ」「利便性」「快適性」「デザイン性」の向上である。しかし、お客さまは最新のこんろがどのように向上し、進歩したのかあまり知らない。ガスこんろに対してはお客さま自身が使っている旧式のこんろのイメージしかない。電気店が最新のIHを提案すれば、お客さまはその新規性に心を奪われて購入する。さらに、IHがきっかけとなってオール電化に転換される。
 お客さまに、最新のこんろの利便性や清掃性、デザイン性を提案することも顧客価値の創造である。最新のこんろの情報を提案し、お客さまに「生活常識」として認知してもらう必要がある。

挑戦 北の大地から
「コミュニティー・スペース」展開 エア・ウォーターグループ

来年、LPガス発売50周年

 エア・ウォーターグループが北の大地、北海道でLPガス販売事業を開始したのは1955年(昭和30)8月のことである。あれから半世紀が経とうとしている。AWグループのLPガス事業は北海道で拡大を続け、やがて本州にも販路を拡大し、北海道と本州という2大市場において確固たる事業基盤を築いた。LPガス販売量20万dは業界大相撲番付の三役であり、その大役を長年維持しつづけている。歴史と実績を誇るAWグループがLPガス発売50周年を来年に控えたプレ50周年の今年、新たな挑戦を開始した。「コミュニティー・スペース」という名の地域に根を張ったショールームの展開である。それはLPガス事業に新しい付加価値を創造する挑戦であり、「創業者精神を持って空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」という経営理念(2003年7月に新宣言)の実践に他ならない。

LPガスの「未来づくり」果敢に挑戦

業界・企業の針路を探る

 業界が誕生して半世紀、そして電力・都市ガスの自由化を受けたエネルギーボーダーレス化の本格到来。LPガス業界は今、新たな挑戦を開始すべき大きな転換点に立っている。これからは市場のグローバリゼーションが加速する中で、顧客から選ばれる業界と企業を目指した激しい競争による淘汰が進み、精鋭同士が勝ち残る時代となる。LPガス業界、企業はどう針路を選択すべきなのか。本紙「プロパン・ブタンニュース」が報道した各企業の経営戦略、販売ビジョンを見ると、改めてその環境認識の厳しさと、それを乗り越えるための意欲的な取り組みが際立つ。「業界50年、エネルギー無境界時代! わがLPガス業界・企業の針路」をキーワードに、この1年半ほどの間の特徴的な動きをとらえ、それぞれの企業が掲げる理念、展望、そしてその活動をクローズアップした。わが社、わがお店はどう進むべきか学びたい。

電化対抗のエース“GHP3兄弟”
全国各地の事例

 GHP・マイクロコージェネ・エコウィルが、LPガスの需要拡大のクリーンアップとして大きな注目を浴びてきた。この“GHP3兄弟”を軸にした提案活動は電化対抗のエースとしても注目を集め、LPガス事業を切り開くカギともなっている。全国各地の先進的な事例を追った。
電化攻勢にユーザー密着で対抗

ガス展でファン開拓

 電力自由化の流れの中で、大口需要家を新規参入業者に奪われつつある電力各社は、家庭用をターゲットにした需要開拓に力を入れ始めた。IHクッキングヒーター、エコキュートを戦略的に販売するオール電化攻勢は、現在では全国的に広がりつつある。LPガス業界はこれに対し、より生活者(消費者)に密着したPR活動の展開によって活路を見出そうとしている。毎年、各地で開催しているガス展も、“電化対応”を明確に打ち出した内容となっている。電気に負けないガスの良さをいかにPRするか。本当の意味での競争がこれから展開していくなか、ここでは、全国各地のガス展への取り組みを紹介する。

ルポ/ガス増販・新規事業
われらリフォームの達人

 LPガス販売事業の強みは「地域密着」と「消費者密着」。この強みを生かしているのが住宅リフォーム事業。長年培ってきた信頼をベースに雨漏りの修理、網戸の張り替え、給湯・冷房・暖房、さらには、増築・改築まで手掛ている。住宅リフォーム事業の市場規模は約七兆円超。地域に根を張った顧客第一主義で着実に実績をあげている“リフォームの達人”をルポした。

加速するオール電化と戦う

LPガスの強み発揮を

 電力、都市ガスの自由化が着々と進む中、LPガス業界にとっても乗り越えていかねばならない多くの課題が表面化している。特に全国規模にまで増殖しつつあるオール電化住宅は、これまでガスの牙城だった厨房・給湯分野を切り崩そうとしている。一方、ガス業界では電化対抗Gラインに代表されるように、都市ガス業界とLPガス業界との共同戦線による取り組みが各地で見られるようになった。そうした状況のなかで、新時代を見据えた“エネルギー総合サービス”の確立を目指し、独自の取り組みを開始したLPガス事業者も出てきた。今後、エネルギーボーダーレス化がますます進展していくなかで、電力、都市の現状を踏まえた上でLPガス業界がどう取り組んでいこうとしているのかに焦点を当てた。

成功させよう全国一斉保安高度化運動

日連 “第二次総点検”を展開
保安高度化3カ年運動が始動

 日本LPガス連合会は今年度から3カ年計画で“第二次総点検”ともいえる「全国一斉保安高度化運動」を展開する。昭和61年から7年間にわたって展開した安全機器普及促進運動の結果、LPガス事故は平成9年にはピーク時の10分の1になるなど安全・安心体制を実現した。しかし、その後は増加に転じ、15年は過去10年間で最悪の発生件数(120件)となった。これらのことから、安全機器の設置、各種機器の期限管理、老朽化設備の一掃、販売事業者の保安教育の徹底、保安教育の徹底指導などを通じて、事故の撲滅を目指すことにしたもの。消費者から安全・安心なLPガス、クリーンなLPガス、便利なLPガスとしての認識を高めることで、ゆるぎない信頼を築きたい考え。日連が作成した「全国一斉保安高度化運動の実施要綱」を中心に運動のポイントを改めて確認する。

エネルギー需給の構造変化と今冬のLPガス事情

国際需給タイト・価格ハイレベル
新局面へ突入の可能性

原油市場
創設以来の最高値に
需給・価格 既存イメージの見直しを

 <原油価格は新レベルに移行>
 今年8月19日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物市場で米国指標原油であるWTI原油価格(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル48・70jと48jの大台に乗って、取引を終えた。
 これは、原油市場創設以来の最高値であり、湾岸戦争やイラク戦争などのいわゆる有事をしのぐ取引価格となった。
 「原油価格は過去経験したことのない高値レベルで推移している。50j/バレルに限りなく近づき、その後下落したものの、それでも44j台で推移するなど、原油需給構造の大幅な変化で今後、われわれは原油需給・価格に対するイメージを抜本的に認識し直し、『原油価格は新しいレベル(一段高いレベル)に移行した』と考えておく必要がある」(大手石油会社の話)。