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(2004/11/08プロパン・ブタンニュース)

ダイプロ社長
山田耕司氏
オール電化には客との絆で万全

 大分県のリーディングカンパニー、ダイプロの山田耕司社長は、いつの世でも年配者が「今どきの若いものは……」とたしなめたものだが、今はその逆に若者のやり方に理解をしめす時だと思う。世の移り変わりに対してLPガス業界の意識はギャップがあり過ぎるので、このような警句を発したくなると言う。列島改造を標榜して土木・建築産業を中心に高度成長を遂げた時期にはLPガス事業もこれに伍して快進撃を続けた。その時期は銀行と石油の時代だった。今はパソコン、インターネットによる情報・通信の時代である。社会の仕組みが変わったのである。LPガス事業を取り巻く環境も変化した。電化攻勢も看過できない。
 平成9年、父上の山田實氏(現会長)から社長を引き継いだとき、山田耕司社長はダイプロ新時代を鮮明に打ち出した。それは、ホームメンテナンス事業の本格開始であった。新社長は極めて率直にガスだけではメシが食えない、とガス依存体質からの脱却をめざしてホームメンテナンス事業を開始したのである。
ホームメンテナンス事業
 ダイプロはLPガス単品ではなくプロパンと一緒に食料品や日用雑貨を家庭に届けるホームサービス事業を手掛けようという考えは以前からあった。昭和62年に顧客の台所ニーズを汲み上げる「御用ボタン」を設置して日常必要な物を届けるサービスを始めている。当時、一家庭の平均売り上げの限界が5,000円だったが、これを1万円にするにはLPガス単品の商売からホームサービス事業に業態を移行せねばならないとしたのである。然しいまひとつ実効が上がっていなかった。
 平成10年、新社長・山田耕司さんは、ガス依存体質からの本格的脱出をめざしてホームメンテナンス事業の指針を示した。社長の切り口は明快で分かりやすいものだった。「夫婦げんかとお金の貸し借り以外の家庭の悩みや夢、すべてを解決し、かなえていこう」というものだった。システムキッチン、バスの積極販売・取り付けをはじめ水漏れ、パイプのつまり、電源を増やすなどの電気回り工事。また網戸の張り替え、畳、ふすま、障子の新調や張り替えもした。外壁塗装、フェンスづくり、門扉・玄関ドアの取り付け、クロス・床の張り替え、キッチン、バス、トイレのやりかえ、インテリア、エクステリアなどなど。お客の要望すべてを肩代わりして解決しようというものである。このために100社を下らない協力会社が組織された。
 ガス器具の買い替えにしても客から電話をもらって売りに行く待ち受け商売から提案型営業を徹底的に教育した。
ホームメンテナンス事業の売上高 今やホームメンテナンス事業はダイプログループの柱となる事業に成長した。スタートした10年度は、約2,340万円に過ぎなかったが、11年度は約9,400万円、12年度は約1億4,900万円、13年度約1億8,800万円、14年度約2億4,300万円、15年度約2億8,300万円、16年度は約3億6,000万円、グループ全体では4億円に達する見込みである。社長就任時にはガス外売り上げの比率は、9対1だったが、1が段々伸びて7対3から6対4に近づいている。今年9月単月でダイプロ簡易ガス事業部は、ガス外売り上げがガスの売り上げを抜いた。大分では1軒当たり月平均売り上げ約5,000円であるが、ダイプロの直売ではガス外売り上げが3,000円を超した。LPガスをコアにしてサービス事業への拡がりが成果を上げている。今後これを強化してお客との絆を大切にしていけばLPガスに対する電化攻勢にも太刀打ちできると言う。
大分プロパン瓦斯からダイプロへ
 平成3年4月1日、「大分プロパン瓦斯」から「ダイプロ」に社名が変わった。ネーミングのコンセプトは「DIRECTOR OF AMENITY/IMAGINATION&PROSPERITY」。その頭文字をつなげて「DAIPRO=生活の快適さ、夢、豊かさの提案者」である。現在は「Daily Activelife Invite Passion Reliance Organization」=「毎日の活気ある生活へ招待する情熱と信頼の組織」だと言う。そしてダイプロ本社の玄関には、基本理念=ホームサービス産業の本分に徹し社会生活の改善と向上を図り豊かな社会の建設に寄与せんことを期す。3柱=1、保安の完全を期す 1、供給の安定を期す 1、サービスの徹底を期す の掲額があった。
対談を終えて
 山田耕司社長の話を反芻しながら考えた。植物学者が1本の繊維を取り出して研究する。これが在来のLPガス事業者なら山田社長のホームサービス事業は植物の茎を横に切って、そこに種々の繊維の切り口を見るようなものである。傍らで社長の雄弁を聞き入る会長・山田實氏は、頼りになる息子よ、しっかりやれといったご様子だった。

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