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(2004/11/29プロパン・ブタンニュース)

全国LPガススタンド協会副会長
東京都LPガススタンド協会会長
椿 貴喜氏
LPG車は低公害4兄弟に優る

 全国LPガススタンド協会副会長で、東京都LPガススタンド協会会長でもある椿貴喜さんは、タクシー会社の明治交通(東京北区上中里、96台)、明治自動車(足立区入谷、87台)、鳳交通(葛飾区西水元、70台)を経営する社長である。そしてLPガススタンド会社・明治モーターガスの社長でもある。
 椿さんはLPガススタンドのお客の八五%はタクシーである。だからタクシーの将来性が即LPガススタンドの命運と深く関連していると言う。
 現在わが国のLPG車総台数は29万2,788台(平成16年8月末現在)、自動車用LPガス消費量は年間160万9,702d(15年)、スタンド数は全国に1,841カ所(15年)である。これらの数字からも分かるようにLPG車が低公害車4兄弟(電気自動車、メタノール自動車、天然ガス自動車=CNG車、ハイブリッド自動車)に伍して遜色がないばかりか、利用の歴史も長く、インフラも整い、普及が実際的なことは明白である。環境省のグリーン購入法の政府調達品目にLPG車も指定されたが、LPG車にはまだまだ障壁が高い。
 だが、低公害車4兄弟に今のような手厚い保護がいつまでも続くものではない。その暁にはLPG車が実力を発揮することは間違いない、と椿さんは明言した。
タクシー運賃はオートガスの需給で決まった
 タクシー運賃は、初乗り運賃と爾後(じご)料金から成る。東京のタクシー運賃料金の変遷(中型車)は次のごとくである。昭和27年11月認可初乗2`b80円爾後500b20円、39年1月初乗2`b100円爾後450b20円、45年3月初乗2`b130円爾後445b20円、47年2月初乗2`b170円爾後435b30円、49年1月初乗2`b220円爾後初乗対比10対8・1、49年11月初乗2`b280円爾後410b50円、52年5月初乗2`b330円爾後405b60円、54年9月初乗2`b380円爾後415b70円、56年9月初乗430円爾後405b80円、59年2月初乗2`b470円爾後380b90円、平成元年2月初乗2`b470円爾後370b80円、平成元年4月初乗2`b470円爾後370b80円、2年5月初乗2`b520円爾後355b80円、4年5月初乗2`b600円爾後347b90円、7年3月初乗2`b650円爾後280b80円、9年4月初乗2`b660円爾後274b80円と推移した。
 椿さんはタクシー運賃の変遷を時系列で示して、おおむね2年ごとに改定された。現在LPガスのFOB価格は高騰している。タクシー運賃の改定が望まれるところだが、上流インフレ下流デフレの情勢下、昼間に空車が並ぶ有様である。値上げをすれば利用客が減る。車の性能も向上して1台当たりの走行距離は、かつては1台当たり330`走行したが、今は270`に減っている。したがってオートガスの出荷量も減る。自動車用LPガスのピーク昭和63年には180万dを消費したが、今は162万dだと言う。
 だが、椿さんは悲観論ばかりを述べてはいなかった。この辺が下げ止まりだろうとLPG車の優れた性能を強調した。椿さんの会社で5年半から6年で60万`走行したタクシーの状態をトヨペットの部長が見てこんなに乗られては自動車屋泣かせだ、冗談じゃないと嘆息した。6年間この自動車はオーバーホールなし、年1回のプラグとエンジンオイルの交換だけだった。LPG車の低公害、低燃費性を実証したものである。LPガス業界は自動車メーカーに型式承認を得て、ライン生産をするように働きかけねばならない。
ハイヤー・タクシーの事業者数と車両数
 全国の事業者数。法人が7,093社、個人(1人1車制)4万6,129人、総車両数車25万9,033台である。
 ちなみに東京のハイヤー・タクシーの車両数は、法人タクシーが3万2,596台、個人タクシー1万9,056台、ハイヤー3,894台(平成15年4月1日現在)で、合計5万5,546台である。
 法人タクシーは、殆どがLPG車である。ハイヤーもLPG車が多い。個人タクシー1万9,000台のうち約1万2,000台がガソリン車に替わった。最近、低公害車が出てクロネコヤマト、生協、日通等がLPガスの小型貨物車を採用し始めている。自家用車のLPG車採用のテンポは緩慢だが、LPG車の将来は期して待つべきものがあると椿さんは対談を結んだ。


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