石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

クラレ・・・生分解性 新規ポリマー2種開発

TPEと改質PLA

クラレは、生分解性を持つ熱可塑性エラストマー(TPE)と改質ポリ乳酸(PLA)を開発した。特有の機能を備えながら、使用後に土壌またはコンポストで分解するポリマーのニーズに高まりに対応し、製品化を目指す。

  • 化学各社、燃料アンモニアに注目 技術開発は着々進展 調達先確立が課題
丸善石油化学千葉工場 クラッカー 国内最大能力の存在感

高度制御や省エネ対応強化

国内最大能力の千葉工場

馬場稔温社長

丸善石油化学千葉工場は市原市五井地区コンビナートに位置する。敷地面積は、南地区、北地区、甲子地区のプラント用地とナフサタンクヤードなどを含め78万5千平方㍍。工場には分散制御システム(DCS)やガスタービン、発電設備も導入し省エネ対応にも注力する。丸善石化はコスモエネルギーホールディングスの第7次中期経営計画のもと石油精製と石油化学の連携強化を打ち出した。脱炭素に向かう潮流のなか、千葉工場はその象徴として屹立し存在感を放ち続けている。
PGP 新設備も順調に稼働 アンモニア燃転30年度に実証炉
「石油化学のダイナミズムとデリケートな部分、その両方を感じてほしい」。馬場稔温社長は千葉工場への想いをこう語った。それは大規模装置を安定・安全に稼働させるきめ細かなオペレーションであり、カーボンニュートラル(CN)や循環経済(CE)、グリーントランスフォーメーション(GX)などへの柔軟な対応力だ。

山本雅則工場長

国内で現在稼働する全12基のナフサクラッカーのうち千葉工場は自社所有のエチレン3号機(3EP=年産48万㌧)と住友化学との共同出資による京葉エチレンの4号機(4EP=69万㌧)の2基を運営。同一拠点では国内最大、アジアでも最大級の生産能力だ。コンビナートの中核を担うエチレンセンターとしてデンカやUBEエラストマー、JNCなど周辺企業に製品を供給する。
「2基のクラッカーを一つの事業所で運営することで、周辺装置も含めキャパシティー効果を究極まで改善する」と山本雅則執行役員工場長は強調する。エチレン装置は分解炉が競争力の源泉であり、改造や増強をしながら競争力維持を図っている。

BEV用全固体電池 出光とトヨタが協業 

材料開発と量産化27~28年実用化

木藤俊一・出光興産社長(右)と佐藤恒治・トヨタ自動車社長

出光興産は、トヨタ自動車とバッテリーEV(BEV)用の有力な次世代電池とされる全固体電池の材料開発と量産化に向け協業する。BEV向けに高容量・高出力を発揮しやすい硫化物系の固体電解質を材料に活用する。
27~28年に全固体電池の実用化にメドを立て、30年以降の本格量産を目指す。
共同記者会見の席で出光興産の木藤俊一社長は「今問われているのは実現力。われわれは技術力で支えていく」と述べた。全固体電池と硫化物固体電解質に関する特許保有件数は両社とも世界でトップクラス。佐藤恒治トヨタ自動車社長は出光興産の硫化物固体電解質の耐水性、イオン伝導性、柔らかさを高く評価した。
両社は本格量産に向けて数十名規模のタスクフォースを立ち上げて協業を進める。内容は、硫化物固体電解質の開発と量産化に向けたパイロット装置を準備する。両社が品質・コスト・納期の観点で硫化物固体電解質を作り込んだ後、出光興産のパイロット装置での量産実証につなげる。トヨタは、

  • 丸善石油化学・・・イソドデカン増設へ 化粧品溶剤向け24年度稼働

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三菱ケミカルグループ・・・植物工場 ラインアップ拡充

イチゴ 周年栽培実現

三菱ケミカルグループは植物工場のラインアップを拡充する。これまで葉菜類栽培用を中心に展開してきた太陽光利用型植物工場は、新製品としてイチゴ周年栽培システムを開発し、近く発売する。20年に発売した完全人工光型植物工場は、初の納入先でフリルレタス工場がまもなく稼働するのを契機に拡販に拍車をかける。

  • 東ソー・・・PPS、車両金属接合用に力 世界初の量産車採用
  • キョーラク・・・二重プラ容器 調味料など向けに拡販 外層のPETは再生利用
  • 三井化学産資・・・ポリウレア工法 瞬間硬化訴求し拡販
  • ソルベイ・・・PPA、熱暴走防止用を追加 車載電池周辺向け
  • トーホー工業・・・EPSパレット、24年問題解決型を提案
  • 上野製薬・・・LCP、新製品で車載用拡大 リフロー対応、高剛性
  • クラレ・・・PVAマイクロキャリアを開発

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DIC・・・PPSコンパウンド モビリティーに重点

放熱や摺動性追求

DICは世界最大手に位置するポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)コンパウンド「DIC.PPS」を、車両用途を中心としたモビリティー関連を重点にハイエンドな材料で拡大する。特に注力するのは放熱性、摺動性、寸法精度を追求した特殊コンパウンド。変化し多様化するモビリティー市場で求められるハイエンドな材料を蓄積した複合化技術で開発、周辺のソリューションと併せて提案し、付加価値の向上による事業拡大を目指す。

積水化学工業 フィルム型PSC 大阪本社ビル外壁に

48枚を地上12階部分に

フィルム型PSC付き建材パネルの試作品

積水化学工業は、大阪本社が入居する堂島関電ビル(大阪市)にフィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)を実装した。同ビルに本社を構える積水樹脂が設置用の建材パネルを製作し、約1平方㍍のパネル計48枚を地上12階部分の南側壁面に取り付けた。今回の設置方法による発電効果測定、予測値と実測値の検証、既存建物外壁への設置・施工方法の検討をさらに進める。
両社はビル外壁への設置に向け「地上12階の風荷重に20年相当耐え、安定した発電性能を維持した設置方法」を共同検討してきた。フィルム型PSCをさまざまな場所に常設するには、ボルトなどで容易に固定できることや、発電性能を最大限に発揮する一つの手段として強度を維持し、たわみのない軽量な面材との一体化が求められる。積水樹脂はフィルム型PSCの取り付けベースとして、軽量でマンションやビルの外壁や天井での使用実績が数多い積層複合板「プラメタル」を検討し、保有する異素材複合技術と積水化学の接着剤技術を掛け合わせ、「フィルム型PSC付き建材パネル」として一体化させた。

トクヤマ・・・太陽光パネル 再資源化に先鞭

石こう 再結晶化技術磨く 四日市・関東に続き室蘭工場稼働

トクヤマは独自技術を生かした資源循環の取り組みとして、北海道で太陽光パネルと石こうボードの再資源化事業を進める。太陽光パネル再資源化はまだ事業化に至っていないが、再資源化率95%という世界でも類を見ないリサイクル技術を開発した。30年から増加するとされる太陽光パネルの大量廃棄に向け、25年度の事業化を目指す。廃石こうボード再資源化事業は世界初のボード・ツー・ボードを実現したもの。四日市工場(三重県川越町)、関東工場(千葉県袖ケ浦市)に続く室蘭工場(室蘭市)の稼働で国内のボードリサイクルを加速させる。

セルと分離し板状ガラスとなった太陽光パネル(北海道南幌町の研究施設)

太陽光パネルのリサイクルはNEDOとの共同研究で、19年に南幌町に研究拠点を設置した。独自の低温熱分解法により、一般的には難しいとされるガラスとセルの分離を実現し、パネルのリサイクル率は95%に拡大した。現在は再資源化設備の連続運転と再生したガラスの品質安定化を検証している。

  • クミアイ化学・・・創業の地・清水で最先端化学研稼働
  • アズビル・・・オンライン異常予兆管理新機能
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の9月国内出荷
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2023年9月のPSP出荷実績
  • 日本プラスチック工業連盟・・・7月のプラスチック原材料の在庫月数
  • カーボンブラック協会・・・8月のカーボンブラック実績
  • 化学製品値上げ
    ・エア・ウォーター・パフォーマンス・ケミカル・・・無水フタル酸

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クレハ・・・PVDF圧電フィルム 新規センサー用拡大

売上高、早期 20 億円超に

クレハはポリフッ化ビニリデン(PVDF)をベースとした透明度の高い圧電性(ピエゾ)フィルムを、資本出資先の英ケンブリッジ・タッチ・テクノロジーズ(CTT)と緊密に連携した製品開発、市場開拓により3Dタッチセンシング領域に展開する。既に複数の案件で顧客による実証作業が進み、いくつかは24年度中の採用を見込む。当面の需要に対応できる供給体制も整備済みで、20年代後半に売上高20億~30億円を目指す。

  • デンカ・・・アセチレンブラック、タイに合弁工場 26年下期稼働
  • 出光興産・・・SPS、食品周り用途拡販 容器含め国内外で
  • 出光興産・・・ペトロナスとSAFで連携
  • 横河電機・・・蒸気トラップを監視 無線センサー新製品
  • 旭化成・・・PCD、バイオマス由来 弾性繊維などに
  • 日東紡・・・ガラス溶融炉排エネ 水素転換へ実証実験 福島で来年
  • 東レ・・・端材由来PBT高機能品を拡充
  • グンゼ・・・江南工場拡張 医療や半導体向け エンプラ部材増産
  • ランクセス・・・倉庫とラボ 豊橋に新設
  • 日油・・・研究開発パートナー 医療分野で募集開始
  • 積水化学工業・・・次世代通信制御機器 カナダ新興と提携
  • 三菱重工業・・・光触媒で水素製造 米新興企業に出資

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