石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

UBE・・・PI売上高 30年度 1.5 倍超へ拡大

4製品で用途も拡張

UBEは、ポリイミド(PI)をモノマー(BPDA=ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)からフィルム、ワニス、パウダーに至る4製品の総合力で拡大する。モノマーとフィルムは需要増に対応して新系列の建設も進めており、主力用途とするディスプレイ関連を引き続き拡大しながら、4製品で他用途の拡大にも積極的に取り組み、事業基盤を強化しながら成長を加速させていく。30年度には同事業の売上高を現状の1・5倍以上へと引き上げる方針だ。

UBEエラストマー 横尾尚昭社長に聞く

製販技一体 事業新体制に手応え

提案力強化 スペシャリティー軸に
UBEエラストマーは、宇部興産( 現U BE)の合成ゴム(ブタジエンゴム=BR)事業分社化により21年10月に誕生した。製造・営業・研究開発の一体運営で製品のスペシャリティー化を基本戦略に安定供給に努める。厳しい需給環境の下、スピーディーな意思決定と組織間コミュニケーション向上を図り機動力を高めた。コスト低減を徹底し収益確保にも手応えを得る。不透明感続く合成ゴム市場のなか横尾尚昭社長に今後の施策を聞いた。
◇   ◇
―事業環境の振り返りと今後の見通しをお聞かせください。
合成ゴム市場環境は、石油化学業界全体の不調とパラレルな関係にありすこぶる良くない状況だ。エチレンセンターの低稼働率が石化の健康状態を如実に表している。世界の需給は軒並み崩れ、合成ゴムも当面はその流れから抜けられないだろう。
ブタジエン価格は目安の1㌧当たり1千㌦を超えてはいるが、BR価格とのスプレッドは厳しい状況が続く。中国での増設の影響により今後2~3年は低迷が続き、BRの需給改善はすぐには期待できない。

  • 東洋紡エムシー・・・VOC回収装置を拡販 フィルター増産 セパレーター工場向け
  • KHネオケム・・・PHB、バイオマス品を開発 海洋生分解性が特徴
  • 岐阜プラスチック工業・・・再生PEでパレット 海洋プラごみ活用第2弾
  • 三菱ケミカルグループ・・・高耐熱の植物由来PC系TPE開発
  • ユニチカ・・・PCアロイ用PARを拡大

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クラレクラフレックス・・・PLA製MB不織布開発

ドリップバッグに提案

クラレの不織布事業子会社、クラレクラフレックスは、ポリ乳酸(PLA)製のメルトブローン(MB)不織布を開発した。100%バイオマス由来でCO排出量削減と石油資源節減につながり、使用後は土壌またはコンポストで微生物により分解するのが特徴だ。コーヒーのドリップバッグのフィルター向けなどに提案しており、24年の実用化を目指す。

  • ピエクレックス・・・圧電繊維を堆肥に活用 資源循環実証開始
ダイセル・・・新会社で医療分野進出 米社と提携

無針注射器を拡販

小河社長(右)とファーマジェットのクリス・カペロ社長兼CEO

ダイセルは、医療事業の拡大に向けて全額出資子会社「ダイセルメディカル」を2日付で設立し、さらに13日には無針注射器のグローバルリーダーで、医薬品やワクチンの高い投与技術を持つ米ファーマジェット社( コロラド州) へ(少額)出資し戦略的資本提携を結んだ。ダイセルは現在、動物実験用などとして展開中の新規投与デバイス(無針注射器)を新会社でワクチン投与用などの医療機器として国内外へ拡大していく。ダイセルの小河義美社長は「4月1日付でライフサイエンスSBUを設置してライフサイエンス関連や医療関連の事業を統合してきた。今回の資本提携と新会社設立で国内外の顧客ニーズに応え、医療機器を中心とした医療分野の拡大に大きく踏み出していく」と意欲を示す。

  • トクヤマ・・・乳頭保湿剤を発売 乳牛の乳房炎を防止
  • DIC・・・PPSコンパウンド、水回り関連を拡大 世界需要取り込み
  • 積水化成品工業・・・BCI装置に採用 ゲル素材製の脳波測定用電極
  • 帝人・・・スーパー大麦を蘭社通じて販売
  • 旭化成・・・3Dプリンター用フィラメントで北米進出 PPEとPP製
  • 三菱ケミカルグループと北大・・・PBS分解酵素を海洋細菌から発見

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石化誘導品、値上げの秋 本格化

円安でナフサ高騰

原油・ナフサ価格の高騰を受けて石化誘導品の価格是正が相次ぎ表明され、値上げの秋が本格化している。需要に力強さは見られないものの原燃料価格の騰勢は強く、円安が国産ナフサ価格の上昇に拍車をかけている。溶剤など製品によってはアジア域内の需給バランスもタイト化してきた。今後の安定供給を堅持するためにも当面の収益体制の立て直しが急務となっている。

  • UBE・・・CPL100㌦高の1710㌦
  • 石油化学工業協会・・・保安推進会議、3社の取り組み紹介
  • 石油化学工業協会・・・9月の石化製品生産実績、9月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 日本スチレン工業会・・・2023年9月受払表
  • 塩ビ工業・環境協会・・・9月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 化学製品値上げ
    ・KHネオケム・・・酢酸ブチル20円以上、オキソ誘導品や溶剤
    ・三井化学・・・溶剤11月から
    ・プライムポリマー・・・PEとPP10円以上
    ・デンカ・・・ABSなど20円以上
    ・東レ・・・ポリエステル繊維
    ・東洋紡エムシー・・・感光性樹脂凸版15%

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エム・エー ライフマテリアルズ・・・MB不織布、資材向け増設検討

ICT用引き合い 25 ~ 26 年に四日市で

三井化学と旭化成の不織布事業統合新会社エム・エーライフマテリアルズは産業資材用のメルトブローン(MB)不織布の生産ラインを増設する検討に入った。ICT用を中心とする市場の増産要請に対応し、25~26年をメドに100%子会社サンレックス工業の四日市工場で1ラインを追加する計画。最新鋭の技術導入も視野に入れ、事業の高機能・高付加価値化を加速させる構えだ。

日本とタイから高機能不織布を供給している

新会社は三井化学60・62%、旭化成39・38%出資で2日発足した。三井化学名古屋工場内で年産1万5千㌧、サンレックス工業四日市工場で4万㌧のプラントを運営し、旭化成守山工場で1万㌧を生産委託。同工場のシステム統合が完了次第、新会社に移管する。海外ではタイに製造子会社2社があり、ミツイハイジーンマテリアルズ(MHM)は3万㌧、アサヒカセイスパンボンドタイ(AKST)は4万7千㌧の供給能力を持つ。

レゾナック ・・・ 川重と水素発電協業

30年に 100 ㍋㍗超

レゾナックと川崎重工業が川崎地区の水素発電事業開発で協業する。国際的な液化水素サプライチェーンの確立が見込まれる30年をメドにレゾナック川崎事業所で100㍋㍗以上の水素発電事業を開始。クリーンエネルギーを電力市場に供給するとともに、両社で活用していく。同事業でのCO排出削減量は70万㌧を見込んでいる。協業はNEDOのグリーンイノベーション(GI)基金事業「液化水素サプライチェーンの商用化実証」に基づく。液化水素受け入れ基地の建設予定地となるレゾナック川崎事業所を対象に事業スキームや発電システムの仕様、水素供給方法などを調査・検討する。(写真=握手する原聡理事基礎化学品事業部長(右)と原田英一・川崎重工業常務執行役員水素戦略本部長)

  • クラレ・・・イソプレンケミカル、車両用途などに新規機能材を拡販
東洋紡・・・火力発電所ガス化 CO2排出4割減

岩国事業所

燃料を石炭からLNGとRPFに転換した岩国事業所内の火力発電所。出力は1万6420㌔㍗

東洋紡は岩国事業所(山口県)の自家火力発電所を更新した。燃料を石炭からLNGと固形燃料(RPF)に転換し、エネルギーコスト削減と脱石炭により同事業所でのCO排出量は従来の約4割に相当する約8万㌧を削減する。約90億円を投じた。
岩国事業所はエンプラや不織布、水処理膜などを生産し、必要な電力の約6割を自家発電で賄う。今回、老朽化した自家火力発電所を全面更新した。新発電所のアセットはリース会社が保有し、大阪ガス子会社のDaigasエナジーがリースを受けたうえで東洋紡にエネルギーサービスを提供する。

  • 積水化学工業とコスモエネルギーホールディングス・・・CCU事業を検討
  • 帝人フロンティア・・・ポリエス繊維、CO算出で認証
  • INPEX・・・米でグリーン水素アンモニア生産へ 現地調査
  • 三菱ケミカルグループ・・・CFRP製車部材 伊社の全株式取得
  • 旭化成パックス・・・事業譲渡し清算

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