石油化学新聞

【おことわり】 本号(18日付)が今年の最終号となります。年明けは1月1日付新年特大号からとなり、同号は8日付の合併号です。ご了承ください。石油化学新聞社

THE PETROCHEMICAL PRESS

クレハ・・・PVDF増設を2回に抑制

30年度メド3万㌧体制

クレハは、30年度までに行うフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)生産設備増設の回数を従来計画の3回から2回に減らす。今年決定したいわき事業所(福島県いわき市)での増設と設備のボトルネック解消に加え、もう1段の増設(建設地は未定)により、目標とする年3万㌧以上の生産能力確保にメドを付けた。設備建設費が高騰するなか、増産に向けた投資額を極力抑えながら、需要が拡大する車載リチウムイオン電池(LIB)正極用バインダー向けPVDFの供給体制を強化する。

アズビルの山本清博社長、23年の振り返りと24年の展望

商品力・技術・人材で成長実現

アズビルの山本清博社長は14日、東京本社で記者会見し23年の振り返りと24年の展望を語った。
21~24年度の中期経営計画の折り返し地点である23年度を「変革の実質初年度」と位置付けた。
かねて設定していた三つの成長事業領域である新オートメーション、環境エネルギー、ライフサイクルに対して、自社の事業セグメントであるBA(ビルオートメーション)、工場系のAA(アドバンスオートメーション)、LA(ライフオートメーション)の3事業がそれぞれの強みを生かして展開。
なかでも、AAでは半導体関連市場の停滞や部材不足の影響が一部残るなか、価格是正など収益改善施策が効果を発揮し、23年度通期のセグメント利益計画は160億円と上方修正した。
また、プロセス産業を中心に、プラントの安全・安定操業や工場のDX、カボンニュートラルへの対応といったニーズが高まっている。山本社長は「24年度以降は当社は商品力、技術開発、人材を一段と強化することで成長を実現しいく」と意欲を示した。商品力強化では保有する計測・制御に関わる製品サービスに、AIとビッグデータ、クラウドなどのデジタル技術を掛け合わせ、新たなアプリケーションの開発とそれらの市場開拓を加速する。

  • 旭化成・・・自動車材、素材の土台にサービス DXで開発期間短縮
  • UBE・・・PUDを宇部で増強 高機能コーティング PCDは新系列稼働へ
  • ポリプラスチックス・・・コンパウンド、中国で2系列増設 移設含め25年稼働
  • ポリプラ・エボニック・・・姫路に新工場建設 増産に向け25年完成
  • 三井化学・・・メガネレンズ材、次期増設を検討
  • 旭化成・・・成形機用洗浄剤20年ぶりに刷新

<特集>急がれる高機能化と成長市場開拓 ポリカーボネート

メーカー各社の現状と戦略
ポリカーボネート樹脂(PC)は透明性、耐衝撃性、耐熱性などが評価されて応用分野を広げてきた。PCの最大市場である中国経済が回復せず、また同国で相次いだ新増設による需給の緩みに原材料の高止まりも加わり、足元は汎用品を中心に厳しい事業環境にある。一方の高機能品は、車両軽量化や電動化、自動運転、高速通信、医療といった成長市場で需要が期待できる。日本や欧米のPCメーカーは高付加価値製品の開発とその市場拡大に取り組むが、それを追う中国新興メーカーの技術力も向上してきた。

概況

  • 差別化で収益回復へ 最大市場の中国は低迷続く
  • 日本のPCメーカーの生産能力

住化ポリカーボネート

  • 環境配慮型品種を開発
  • 再生材とバイオマスの2種

帝人

  • 中国でのスペックイン活動強化
  • 高付加価値品 専任部署で積極提案

コベストロ

  • 再生グレード供給拡大
  • バイオマスとポストコンシューマー持続可能なPCを

三菱エンジニアリングプラスチックス

  • 事業再編でPC専業に
  • 基本特性向上 親会社と連携強化

出光興産

  • 高付加価値品 インプラント化に力
  • 競争力向上 生産効率と両立

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