THE PETROCHEMICAL PRESS 2024年新年特集号
石化構造改善 実効性伴い本格化へ
トップの信頼関係がカギ
素材の経済安保を守り、サステナブルなプロセスへの進化が求められる石化コンビナート
注目される西日本での連携
石油化学業界は24年、実効性を伴う構造改善を本格化させる。アジアの需給環境と国内の素材の経済安全保障を両輪で睨みつつ、まずは自らで誘導品の高付加価値化を加速。競争力に劣る製品は撤退を含む改革を断行する。そのうえで、必要となる基礎原料の規模を見極め、サステナブルな生産プロセスへの移行も視野に入れつつ、石化コンビナートを再設計する。持続可能な技術開発の進展と幅広いステークホルダーとの連携がポイントとなるが、すべてのカギは経営トップ同士の信頼関係にあるといえよう。
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三菱ケミカルグループ・・・石化再編「多くの会社と一緒に」
次期社長の筑本執行役
筑本学執行役
三菱ケミカルグループの筑本学執行役エグゼクティブバイスプレジデントが24年4月1日付で社長に就任するトップ人事を発表した。ジョンマーク・ギルソン社長は取締役となり、6月の株主総会後に退任する。
筑本次期社長は石油化学事業を長く歩み、同事業に関する知見や日本をはじめとする化学業界に広い人脈を持つ。会見で「現在の日本の化学産業は、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなどへの対応も含め、大きな転換点を迎えている。当社も収益性やスペシャリティマテリアズ事業の成長性、グループ全体でのポートフォリオの改革など、さまざまな課題に直面しており、もちろん石油化学事業の再編も大きな課題と認識している。ギルソン社長がこの3年間で作り上げたグローバル経営基盤やパフォーマンスベースカルチャーなどを継承するとともに、もう一度現場の声に耳を傾けハンズオンで成長に向けた施策を立案して実行したい」と抱負を語り、石化再編の方法は「他社との連携は間違いなく必要だ」とし、「どういう(石化事業の)新しい会社つくるのかを明確に一緒に描けるような方と組み、そういう多くの方に参画してほしい」と述べた。
出光興産木藤社長・・・石化再編の必要性も
「24年は重要な分岐点」
木藤俊一社長
出光興産の木藤俊一社長は記者会見で、24年の展望を述べた。昨年スタートした新中期経営計画(23~25年度)の進捗に手応えを示し、「24年は単なる計画の通過年ではない。当社の将来を左右する重要な分岐点になる」と強調した。
木藤社長は「既存のエネルギーを支える化石燃料の重要性は再認識されている。今後も効率化と競争力をさらに強化し、重要なエネルギー、素材である石油製品、石油化学製品の安定供給に努める」と力を込めた。そのうえで、30年までに1兆円の事業構造改革投資を計画しており、現在はスクリーニングを通じて重点投資分野の選択と集中について議論を重ねていると説明した。
特に、カーボンニュートラル(CN)への対応は、「化石燃料事業を基盤としてきたわれわれにとって大きなチャレンジなのは間違いない。飛躍と成長のチャンス」とし、目標達成に向けて挑戦していく意欲を示した。
- 日本化薬・・・電流遮断器部材を拡大 中国中心に市場開拓
THE PETROCHEMICAL PRESS 2024年新年特集号 再生の時、変革加速 する化学関連企業
▽2面=旭化成、住友化学
▽3面=日本触媒、三井化学
▽4面=カネカ、東レ
▽5面=デンカ、三菱ガス化学
▽6面=ダイセル、ダウ日本
▽7面=クラレ、日本化薬
▽8面=ENEOS、出光興産
▽9面=日鉄ケミカル&マテリアル、丸善石油化学
▽10面=積水化学工業、タキロンシーアイ
▽11面=旭有機材、JSP
▽12面=東亞合成、三洋化成工業
▽13面=JNC、アズビル
▽14面=東ソー、帝人
▽15面=クレハ、ユニチカ
▽16面=UBE、ポリプラスチックス
▽17面=DIC、本州化学工業
▽18面=日本ゼオン、プライムポリマー
▽19面=ENEOSマテリアル、横河ソリューションサービス
▽20面=KHネオケム、エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル
▽21面=積水化成品工業、大倉工業
▽22面=トクヤマ、三菱エンジニアリングプラスチックス
▽23面=東洋紡、三井化学東セロ▽24面=日本エイアンドエル、出光ファインコンポジット
▽25面=PSジャパン