石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

ユニチカ・・・熱成形用PET不織布 高付加価値化で拡販

タイで機能製品事業化

ユニチカは、タイで熱成形用ポリエステルスパンボンド不織布(PETSB)「マリックスAX」に吸水・蒸散などさまざまな機能を付与した製品群を事業化する。顧客へのソリューション提案力を強化するとともに、製品の高付加価値化で収益性も高める狙いだ。
マリックスAXは優れた剛性、成形性、通気性を兼ね備えた熱成形用PETSB。プレス成形ででさまざまな形状、薄さ、重量の成形品に加工できる。今回、顧客のニーズに応じて吸水・蒸散、発熱、電磁波シールド、断熱、遮熱、放熱といった機能を付与した製品群を「マリックスAXplus+」として展開する。タイのPETSB製造・販売子会社タスコでこれら製品群の量産体制を整えた。

継続成長に意欲示す KHネオケム 髙橋理夫社長

ニッチな事業構成に力

持続可能な価格戦略を推進
「決して強いとは言い切れないが、ひところよりは事業や財務の体質が強化されてきた。他社がやらないニッチ領域でビジネスを展開しているのが功を奏している」
KHネオケムの髙橋理夫社長はこう語り、「引き続き着実に事業成長を遂げていく」と意欲を示した。
同社の23年通期業績は売上高が前年比3億円増の1152億円、営業利益25億円減の99億円と増収減益となった。経済停滞と設備トラブルなどマイナス要因が多かったにもかかわらずまずまずの着地といえる。減益の主因は在庫メリットの剥落で、7~9月には四日市で原料サプライヤーの設備不調によって主要設備で稼働調整を余儀なくされた。需要停滞もあり、電子材料用高純度溶剤やオキソアルコールほか溶剤などの基礎化学品が減益となった。
しかし、収益の柱である冷凍機油原料は増益を確保。世界のエアコン市場は中国と米国の不動産不況の影響で成長率が1%増と低調だったにもかかわらず、同社製品の販売数量は12%増と大きく伸長した。LNGなど燃料コストの上昇を価格転嫁で打ち消し、セグメントの営業利益は16%の増益となった。22年にトラブル要因で販売シェアを落としたが、23年にはこれを奪還し、世界トップのサプライヤーに返り咲いた。そのシェアは世界の過半、アジアでは70%に達している。高橋社長は「トップサプライヤーとしてさらに地固めを行う」と意欲を示す。

  • ダウ・・・シリコーン合皮、車両内装用を拡大 中国OEMに採用
  • クラレ・・・欧米で再生炭増設検討 水浄化向け需要好調
  • デンカ・・・CR、業績改善策を実行 生産能力最適化へ
  • AGC・・・化学品部門、26年営業益860億円に 塩ビやフッ素製品で
  • 三井化学・・・マイクロ波活用CF、製造実証設備が完成
  • 日本化薬・・・エポキシ樹脂、半導体用の生産拡充 需要対応と高品質化

 

経済産業省素材産業課長 土屋博史氏に聞く 

川下や社会と付加価値共有する市場作りを GX実装へ 先行投資支援が本格化 構造改革と時間軸が同期
厳しい23年が終わり、経済回復が期待される24年が動き出した。国民生活にエッセンシャルな素材と持続可能なイノベーションを提供する化学業界にとって、24年はアジアの需給構造への対応や自らの事業ポートフォリオを高度化する変革を加速する年となる。50年のカーボンニュートラル(CN)実現に向けてグリーントランスフォーメーション(GX)を本格化させる年でもある。構造改革とGXの時間軸は今、ピタリとシンクロしてきた。経済産業省製造産業局の土屋博史・素材産業課長に24年とその先の展望を聞いた。
―まずは24年の化学業界を展望しつつ、3年後、5年後、10年後の社会を見据え、そこで石油化学を起点とする化学業界はどのように変革を遂げるべきか。ご意見をお聞かせください。
昨年は産業界全体でGXを文脈とする議論や検討が随分と加速した。そして、12月15日の第10回GX実行会議では先行投資支援を含めてさまざまな戦略が取りまとめられた。今年はいよいよ具体的なツールでGXを実行していく段階に来た。
鉄鋼や化学、紙・パルプ、セメントなど素材産業はわが国の製造業GDPの約3割を占める。特に化学産業はその1割を担い、100万人の雇用を支え、工場やコンビナートが立地する地域経済をリードする役割も担っている。化学はわが国の基幹産業の一つである。サプライチェーンの確保でカギとなる製品の原材料を担っているのは化学素材だということを痛感する場面が本当に多い。
例えばエチレンなどの基礎化学製品は汎用品と言われる。しかし、そこから先の誘導品の領域では自動車や電気電子デバイスなど川下産業の競争力の源泉となっている。また、化学各社が注力している半導体材料やディスプレイ材料、蓄電池材料などの機能性材料は、世界的に高いシェアを確保しているものが多い。

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  • アクリル酸エステル・・・需要回復 足取り重く
  • UBE・・・化学部門の収益改善 膜と窒化ケイ素牽引
  • 千代田化工建設・・・トヨタと水電解開発へ
  • 千代田化工建設・・・ソフトウエア新興企業に出資
  • JSR・・・半導体材料、EUV向け好調続く
  • PVCアワード2023・・・頼れる13製品を表彰
    塩ビ工業・環境協会(VEC)などが主催する塩化ビニル樹脂(PVC)を用いた製品コンテ
    スト「PVCアワード2023」の表彰式が行われ、準大賞の積水化学工業「エスロン大型建物用雨とい 超芯V ― MAX」をはじめ優秀賞4点、特別賞3点、入賞5点の全13点が表彰された。大賞は該当作品がなかった。
    「エスロン大型建物用雨とい」は従来、金属板の曲げ加工でしか作れなかった大型建物用の雨どいを、PVC主体のオール樹脂(ポリエステルシートの両面にPVCを積層)で製作した。金属を使った製品に比べて重量を半減、板金職人の減少や現場での施工性確保といった課題を解決した。
    【写真】準大賞を受賞した積水化学工業の三宅慶昌氏(右)と桒田守・VEC会長
  • 東ソー・ハイテック・・・3工場に自動化設備
  • デンカ・・・ノロウイルスワクチン開発中止 特損67億円を計上
  • カネカ・・・東京国立博物館に有機EL照明寄贈
  • 石油化学工業協会・・・APIC韓国大会参加登録スタート
    石油化学工業協会は5月30~31日に韓国で開かれるアジア石油化学工業会議(APIC2024)の参加登録受け付けを特設サイト(石化協ホームページhttps://www.jpca.or.jp/ からアクセス)で開始した。締め切りは3月25日19時。参加登録費は1人900㌦。APIC2024は、韓国の石化業界団体KPIAがソウル市江南区のホテル「グランドインターコンチネンタル・ソウル・パルナス」で開催する。テーマは「Trailblazing the Path in a Sustainable Era(サステナブル時代の先駆者)」。
  • カーボンブラック協会・・・12月のカーボンブラック実績
  • 財務省貿易統計・・・プラスチックくず7品目の23年輸出量
  • ベンゼン2月ACP・・・100㌦高の1010㌦

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日本化薬・・・産業用IJ色素 増産機に世界展開

商業印刷・軟包装向け強化

日本化薬はインクジェット(IJ)プリンター用色素の大幅な生産能力増強を背景にコート紙(商業印刷)、軟包装(フィルム印刷)向けといった産業用途の拡大に注力する。商業印刷はIJ化に伴う需要を取り込み、軟包装向けは新開発した難吸収のメディアにも直接印刷できる水系の環境対応型インクをグローバルに提案していく。産業用IJ色素は今年第2四半期の稼働予定で福山工場(広島県)に新工場を建設し、生産能力を約3倍に拡大する計画だ。

  • 車載光学フィルム 新規用途・顧客開拓
    HUDやTFTに
  • 住友化学・・・岩田社長 「今期膿出し切る」 千葉の石化再構築
  • 三菱ケミカルグループ・・・発泡性PBT開発 25年から量産化
  • 東洋紡・・・界面活性剤、微生物で低廉生産 NEDO支援下、技術開発
  • レゾナック・・・名大・北大と 機能性オリゴ糖配合 BS資材を共同開発
    レゾナックはカニやエビといった甲殻類成分のキチンや植物由来セルロースなど天然由来原料から生産した数種類の機能性オリゴ糖を配合したバイオスティミュラント(BS)資材を名古屋大学、北海道大学と共同開発し、液状肥料「KROPICO(クロピコ)」=写真=として国内で本格販売を開始した。同製品は植物の生育を促進しストレスを緩和するBS資材。陸上で最も豊富に存在するバイオマスであるセルロースと、最大の海洋バイオマスであるキチンを原料としたオリゴ糖を選択的に合成した。根菜類、穀物・豆類、果菜類、花き類、果樹など幅広い作物に適用できる。発根促進や光合成・結実性の向上、塩害や高温障害など環境ストレス耐性の向上が図られ、植物の増収に寄与する。
  • PSジャパン・・・食品容器に植物由来添加物含有PS採用
  • トクヤマ・・・電解質分析向け電極を5割増強 と完全子会社のエイアンドティー(A&T)と
  • エスジー工業・・・バイオプラ認証のPLA結束バンド
  • 日本ゼオン・・・ISCC認証取得 8品目
  • ENEOSと国東市・・・家庭ごみ廃プラCRへ実証開始
  • UBE・・・欧州製PA複合材、再生材の認証取得
  • 出光興産・・・北海道製油所PC、来年末にZEB化
  • ダイセル・・・オートファジー認証 ウロリチンAで取得
  • 荒川化学・・・高木専務が社長昇格
    荒川化学工業は4月1日付で高木信之専務が社長に昇格する人事を内定した。宇根高司社長は取締役相談役に就く。社長交代は7年ぶり。
    高木信之(たかぎ・のぶゆき)氏 88年神戸大学工学部工業化学科卒、荒川化学入社。18年取締役、22年常務、23年専務。大阪府出身、59歳。

 

 

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