石油化学新聞

カーボンニュートラル時代における化学産業の役割

GX実現へ革新技術を実装
現在、人類が直面する地球規模の課題であるカーボンニュートラル(CN)。その実現に向けて世界が動くなか、エネルギー多消費型産業である化学業界は自らの温暖化ガス(GHG)排出量削減に全力で取り組み、成果を着実に上げている。また、サステナブルな素材・材料・技術の供給を通じてソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に貢献を目指している。化学はモビリティー、エレクトロニクス、ライフサイエンスなど、あらゆるものづくりの起点を担う。人々の生活を支えるエッセンシャルな材料の提供と併せてグリーントランスフォーメーション(GX)を実現するイノベーションを創出する産業として今後ますます貢献するだろう。
1954年の創立からこの4月で70周年を迎える石油化学新聞社は本紙・石油化学新聞でその過程を引き続き報道していく。創立70周年記念特集号では「カーボンニュートラル時代における化学産業の役割」をメーンテーマとし、化学がもたらす未来社会に思いを馳せながら化学関連業界の取り組みなどをまとめた。CNの実現や循環型社会の構築の一助にとなれば幸いだ。

化学の力で持続可能な社会の実現を <座談会>

カーボンニュートラルへの道(2~3面)

出席者
三井化学社長 橋本 修氏
旭化成社長 工藤 幸四郎氏
国際大学学長 橘川 武郎氏
司会 本社取締役石油化学局長 樋口博之

化学の力で持続可能な社会の実現を
<座談会>カーボンニュートラルへの道
化学産業がカーボンニュートラル(CN)な社会の実現に果たす役割は大きい。温室効果ガス(GHG)排出量の削減に関して、自助努力による責任と製品・サービスを通じた貢献の双方で社会からの要請に応えている。また、炭素を資源として循環する新しい社会において高い技術と経験に裏打ちされた日本の化学産業は固有の競争力を獲得し、世界を席巻するであろう。クラッカー燃料へのアンモニア利活用から長期的研究を通じてグリーンアンモニアの国産化を目指す三井化学の橋本修社長。アルカリ水電解システムによるグリーン水素の製造や触媒技術を駆使したCOケミストリーで機能化学品の製造を目指す旭化成の工藤幸四郎社長。化学業界を含む日本の製造業に長年関与してきた経済学者で国際大学の橘川武郎学長。3氏によるCN鼎談からは化学産業の今と未来像が示される。

<カーボンニュートラル実現へ先陣を切る>(6~7面)

周南コンビナート

出光興産徳山事業所
・責任ある変革者を実践
・分解炉 アンモニア混焼でデータ
東ソー南陽事業所
・燃転とCCUに全力
・バイオマス専焼発電所 26年度本格稼働へ
トクヤマ徳山製造所
・燃料転換 アンモニア利用も視野
・BP自製化へ実験設備建設

 

化学各社はカーボンニュートラル(CN)と事業の競争力強化の両輪を実現する取り組みを加速させる。なかでも周南コンビナートはそのファーストムーバーとして製造業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)のモデルケースと称される。石炭火力発電所の燃料転換を軸に、アンモニア、バイオマス、廃棄物、CO2、廃熱循環など、さまざまなテーマについて、「まずは出来るところ」からと着手した検討・検証は、既に一部で実装段階へと移行しつつある。その根底には企業と地方行政、アカデミアが三位一体で緊密に連携し、「2050年を超えて共に生き残る」という気概があった。公正取引委員会から「独占禁止法上の問題はなし」とのお墨付きを得て、今後さらに各種検討が具体化していく。周南コンビナートの実情をレポートする。

日本の化学産業の課題と必要な取り組み/証券アナリストの視点( 9面)

みずほ証券
山田幹也氏
・事業モデル変革 収益機会創出に期待
・三つの変化 CN、世界分断、DX

モルガン・スタンレーMUFG証券
渡部貴人氏
・石油化学 構造改革の早期実現を
・クラッカー2基停止は必要

加速するプラスチックリサイクルの取り組み(10~11面)

海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などを背景に、プラスチックの資源循環の必要性がますます高まっている。そこで各社が推し進めるプラスチックリサイクルの取り組み事例を紹介する。

食品容器水平リサイクル

  • 回収トレーを再生活用
  • エフピコ PETボトルにも拡大

ごみからエタノール生産

  • 積水化学工業、資源循環へ実証設備
  • バイオリファイナリー、25年度以降に実用化

神戸プラネクストイベント

  • 樹脂の種類に驚きの声
  • 消費者に分かりやすく

CRプラットフォーム

  • プラウェーブ、25年までに社会実装
  • マイクロ波化学 小型分散型システムも

PSのモノマー化

  • CR率 50年、10%を目標に
  • PSメーカー 3社が事業化推進
マイクロ波化学社長 吉野巌社長に聞く

利益出せるCR提案 マイクロ波の強み生かす

マイクロ波化学吉野巌社長

―マイクロ波によるケミカルリサイクル(CR)に対して社会的関心が高まっています。これまで実装が難しかった理由はあるのでしょうか。

マイクロ波自体はレーダーとして、第二次大戦のころから利用されてきた。電子レンジとしても使用されている。マイクロ波技術が実装されなかった理由は大きく二つの要因が存在する。一つ目はマイクロ波の制御が困難なこと、二つ目は既存のレガシー型システムが存在しており、マイクロ波技術を活用する必要性がなかったためだ。

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • 日本化薬・・・クリーナー、中国の供給拠点拡充 地産地消化に対応
  • 石油化学工業協会 岩田圭一会長・・・石化品需要、2月も引き続き低調 GX、DX投資に期待
  • 石油化学工業協会・・・2月の石化製品生産実績、2月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 積水化学代表の7社企業体・・・下水道管理、武蔵野市から包括受託
  • 日本銀行・国内企業物価指数の1月実績・・・石化系基礎製品前月比0.1㌽上昇

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