石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

アールエム東セロが発足 包装フィルムで シナジー発揮

利益率にこだわ

松坂繁治社長

三井化学東セロ(三井化学100%)の包装フィルム・シート事業とポリプロピレン(PP)フィルム専業のサン・トックス(レンゴー66%、トクヤマ34%出資)が4月1日付で経営統合し、統合新社のアールエム東セロが発足した。松坂繁治社長は「包装フィルムという産業は人びとの生活を守り、豊かにする社会インフラ。これを永続させるため統合シナジーによるコスト削減で収益力を高め、開発力の強化で製品の高付加価値化にも取り組む」と強調する。30年度を見据えた長期ビジョンと成長戦略を盛り込む中期経営計画を24年度中に策定する。

新 話題とその人 日本ピグメントと経営統合する 住化カラー社長 児島俊郎氏

ベストオーナーと成長 国内外拠点 相互に有効活用

住化カラー社長 児島俊郎氏

当社は親会社である住友化学の構造改革に伴う保有株式(87・3%を4月30日付で)売却により、同じ顔料メーカーである日本ピグメントの傘下企業となるが、日本ピグメントは10月に持株会社体制への移行を予定する。当社( 社名は変更)は一定の独立性を保ちながら、日本ピグメントとともに持株会社の傘下となる。経営統合による規模の拡大で多くのメリットが期待でき、これを新体制の下で具体化し、顔料業界におけるリーダーとして持続的成長を実現していきたい」 住化カラーと日本ピグメントはともに設立から100年以上の歴史を持ち、日本における顔料のパイオニア企業。世界経済の混乱などで顔料業界も足元は伸び悩んでいるが、経営統合によって今後、期待できる効果は多いようだ。

  • 旭化成・・・LIB用湿式セパレーター 投資リスクを分散 北米30%シェア獲得へ
  • トクヤマ・・・中計達成 電子先端回復ポイント 伝統事業はコスト改善

<特集>国内アクリル酸・同エステル業界

需要回復に備え競争力と高付加価値化を加速
アクリル酸とアクリル酸エステル業界は需要停滞と中国の供給過剰に起因する市況悪化に苛まれ、約2年にわたって厳しい状況が続いている。中国では今なお新増設が計画されるが、それに見合う需要回復の好材料はなく、低操業・低採算状態は当分続きそう。企業間の優勝劣敗が明確になるなか、淘汰・再編へと突入する公算も高まっている。一方、国内はメーカー3社体制のもと各社はそれぞれの強みを生かし、生き残りに向けて事業競争力に一段と磨きをかける。共通するのは固有のサプライチェーンを有すること。その高機能・高付加価値化に拍車をかけ、需要回復に万全の備えで臨む。

概況

  • 中国市場、需給均衡化の道遠し
  • 国内需要 高機能領域で改善

三菱ケミカルグループ

  • 原料~川下 サプライチェーン構築
  • 品質や供給の安定性に定評

東亞合成

  • 高付加価値展開を加速
  • モビリティ領域で拡販進む

日本触媒

  • 最適操業 アジア3拠点で継続
  • サステナブルな取り組みも

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トクヤマ・・・高純度IPA 3拠点を最適運営

台湾フル稼働へ

トクヤマは半導体用高純度IPAで構築した日本、台湾、韓国の3拠点体制で最適運営を図る。需要回復に合わせて生産は徐々に増加しており、各市場の需要を見極めつつ高品質な製品の安定供給に万全を期す。

  • 日本界面活性剤工業会・・・「環境対策を好機に」原田新会長が抱負
  • エポキシ・・・基板向けが牽引 電気用が回復基調
  • オリンなど米国のエポキシ樹脂メーカー5社・・・中台などをアンチダンピング(AD)提訴
  • 国産ナフサ1~3月・・・7万2500円に下落
  • 財務省貿易統計・・・2024年3月石化品輸出実績、2024年3月石化品輸入実績
  • 塩ビ工業・環境協会(VEC)・・・3月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・3月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本化学繊維協会・・・3月の合成繊維生産・在庫量
  • 化学製品値上げ
    ・デンカ・・・電子包材シート15円
    ・帝人フロンティア・・・ポリエス繊維と生地
    ・UBE・・・ポリアミド樹脂
    ・東ソー・・・PEを15円以上 CR20日から
    ・ジェイ・プラス・・・フタル酸系可塑剤
    ・DICグラフィックス・・・インキや塗料など

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DIC・・・新規低誘電樹脂 高速通信分野を拡大

BMIやビニルも量産へ

DICは、通信システムの高速・大容量化に伴い高い成長が見込まれる高周波基板向け樹脂の拡大に注力する。基板向けは従来からエポキシ樹脂を展開しており、誘電率(Dk)と誘電正接(Df)を低減した製品で周辺用途を拡大し、エポキシで対応が難しい低誘電領域などへは新規熱硬化性樹脂の提案を強化する。既に活性エステル樹脂やビスマレイミド樹脂(BMI)が採用を広げ、増産にも対応中。一層の低誘電化が求められる用途も、新開発のビニル樹脂で取り込んでいく方針だ。

西日本地域のコンビナート連携 「瀬戸内連合」が現実味

三井化学・旭化成・三菱ケミGトップ前向き

石油化学基礎原料の競争力強化とグリーントランスフォーメーション(GX)の両立を図る西日本地域のコンビナート連携「瀬戸内連合」構想が急速に現実味を帯びてきた。三菱ケミカルグループの筑本学社長は「すぐにでも協議に参画し実現したい」と意欲を示し、既に大筋でコンセンサスを得ていた三井化学の橋本修社長と旭化成の工藤幸四郎社長に接近し、関係各方面の了承を前提に連携の方策を練りたい考えを示している。 そもそも瀬戸内連合は、三井化学の橋本社長が昨年11月28日の経営概況説明会で自社の石化再構築第2幕と合わせて言及したことに端を発する。長年にわたり自社の大阪工場から広島県に隣接する山口県和木町の岩国・大竹工場に内航船でオレフィン類を輸送してきた実績から着想を得た。

  • 住友化学・・・プロピレンオキサイド、KBRと技術供与 世界展開に拍車
  • 東友ファインケム・・・半導体関連材料 27年度から増産
  • 日本ゼオン・・・川崎に共創施設 26年度開設
  • 太陽インキ製造・・・技術開発拠点を開設 半導体関連など強化
  • UBE・・・環境貢献品・技術に新ブランド
    UBEは環境製品ブランド「U―BE―INFINITY」(ユービーインフィニティ)=写真はロゴマーク=を設定した。環境貢献度が特に高い製品・技術に付与し付加価値を高める。新ブランドは若手社員が議論を重ねて策定した。温室効果ガス排出削減でカーボンニュートラルに貢献、再生材・バイオマスを利用す省資源化やリサイクル簡易化に貢献する製品・技術が対象となる。

 

  • 積水化成品工業グループ各社・・・発泡押出製品ISCC認証
  • 日本化薬・・・クリーナー採用遅れ前期特損25億円計上
  • ランクセス日本法人・・・工業用品を軸に業績回復めざす
  • 信越化学工業・・・半導体向け 「ヤモリの手」模した乾式接着技術を取得
  • 東レと住友ゴム・・・車いす用スロープ次世代品を開発へ
  • 三菱エンジニアリングプラスチックス・・・加藤副社長が社長に
    三菱エンジニアリングプラスチックスは、加藤賢治副社長が6月24 日付で社長に昇格する人事を内定した。林勝茂社長は退任する。
    加藤賢治(かとう・けんじ)氏 87年東京大学大学院工学系研究科修了、三菱ガス化学入社。19年取締役、23年から三菱エンプラ副社長。福岡県出身、61歳。

 

  • 綜研化学・・・社長に冨田取締役
    綜研化学は、冨田幸二取締役が6月26日付で社長に就任する人事を内定した。福田純一郎社長は相談役に就く。
    冨田幸二(とみた・こうじ)氏 92年成蹊大学工学部工業化学科卒、綜研化学入社。21年取締役上席執行役員、23年取締役。埼玉県出身、54歳。

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