石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

日本触媒・・・LIB用電解質 年度内に米日投資判断

ソリューションズ事業の成長牽引

北米・日本でも量産化を急ぐ「イオネル」

環境と健康・医療も戦力化へ
日本触媒は独自開発のリチウムイオン電池(LIB)用電解質であるリチウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド=LiFSI「イオネル」の北米と日本での量産拠点確立を急ぐ。電気自動車(EV)の生産拡大など自動車の電動化が加速するなか、26~27年ごろをメドに年産数千㌧規模の量産体制を確立する構えで、24年度中にも投資判断を下す。同製品を機能性化学品系のソリューションズ事業の柱の一つに据え、成長分野への事業変革を確かなものにする。

アズビル・・・中計目標超過達成へ 24年度見通し

4期連続の増収増益 FA市場は下期回復期待

研究、技術開発体制を強化した藤沢テクノセンター

アズビルは21~24年度の4カ年中期経営計画を超過達成する見通しだ。各事業で海外事業が成長する中、価格転嫁を含む収益力強化策が進展。最終年度の24年度業績は4期連続の増収増益を見込む。引き続き商品力強化や設備投資、人的資本への投資を強化し、30年の長期目標に向けさらなる変革に取り組む。

  • カネカ・・・高砂でコージェネ増設 石炭ボイラーは廃止
  • 住友化学・・・合理化施策積み上げ 業績改善 車材料回復に期待
  • UBE・・・設備投資、今期は前期比2倍超 スペシャリティを拡大
  • 三井化学・・・24年度 コア営業益 全セグメントで増 成長3領域が牽引
  • 宇部マクセル・・・セパレーターを堺で3割増強
  • ダイセル・・・電材用溶剤再利用へ 一部は今期中に

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JCN・・・不織布事業で構造改革 

能力適正化 海外生産にシフト

JNCは、不織布事業の構造改革として24年度中に国内生産を停止する。需要減が続く不織布生産を日本から海外にシフトし、生産能力の適正化を図る。 JNCは滋賀県守山市に原綿から不織布までを一貫生産する守山工場を構え、国内紙おむつメーカーなど衛生材料向けに不織布を供給している。23年度決算に、守山工場の不織布生産設備停止による減損損失1億7900万円を計上した。生活水準向上によって紙おむつの需要が増加することを見込んで設備投資していたが、近年は日本からの紙おむつ輸出は減少傾向にある。中国も出生率低下によって子供向け紙おむつの需要が低下しており、さらに国内衛生材料メーカーが不織布生産の内製化を進めていることなどの事業環境の悪化から、不織布生産設備の停止を決めた。従来の顧客に対する供給責任を果たしながら今年度中に守山工場の不織布生産を停止する。

旭化成/アルカリ水電解 水素製造 川崎で試験設備始動

最適運転実証 商用技術確立へ

旭化成は川崎製造所で水素製造用のアルカリ水電解パイロット試験設備の本格稼働を開始し、13日に現地に関係省庁幹部や国会議員などを招き、開所式を開催した。同設備は商用機と同規模の電解セルを用いた4台のモジュール(水電解槽本体と最低限の周辺機器)で構成しており、各モジュールで再生可能エネルギー使用に伴う運転負荷の変化を制御し安定操業することで、システム全体の最適運用を図るための実証を行う。具体的には0・8㍋㍗×4モジュールで構成する同パイロット設備を用いて、変動応答試験や各種部材の性能、長期耐久性試験などを実施。さらに福島県浪江市の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で4年以上運用しているシングルモジュールによる10㍋㍗規模の実証装置の運転データと組み合わせることで、世界で求められる100㍋㍗超級の大規模設備開発を加速させ、本格事業化を目指す。このほか、同社はマレーシアの国営石油会社ペトロナス系子会く、太陽電池関連などクリーンエネルギーの蓄電池用途などへも販路を広げていく考えで、既に顧客評価は進んでいる。 現在、同社のインフレータ生産拠点は日本(播磨工場)、米国(アリゾナ州)、タイ、ポーランド、中国、インド。グローバルな生産最適化の一環として昨年10月に米国ケンタッキー州での生産を停止し、アリゾナ州に生産集約した。各拠点でコストダウンも徹底し、収益性を高めていく方針だ。社のジェンタリや日揮ホールディングスと同国で60㍋㍗級のアルカリ水電解システム(GI―フェーズ2)建設に関する覚書を締結しており、現在、基礎設計段階にある。浪江と川崎の経験やノウハウを生かし、27年の実証運転開始を目指す。

  • ダイセル・・・セイフティ 今期営業益2.5倍増へ 中印拡販で成長加速
  • ポリプラスチックス・・・PPS、モノマテリアル化実現 耐ヒートショック向上
  • 三洋化成工業・・・細胞外小胞 短時間、高純度で回収 精製キットを発売

三洋化成工業はエクソソームなど細胞外小胞(EV)を簡単な操作で短時間、高純度で高収率に回収できる精製キット「EXORPTION(エクソープション)」を開発し、コスモ・バイオ( 本社・東京都江東区)とタカラバイオ(滋賀県草津市)を通じて5月から販売を開始した。価格は1箱10テスト入りで税別8万円。三洋化成では同キットの委託販売に加えて、同キットを用いてEVの応用研究を加速・発展させ、診断薬や治療薬など新規医薬品の創出を目指す。
【写真】エクソソームなどを高純度高収率に精製する「エクソープション」

  • 東レ・・・モノマテ包装材技術 印刷時のCO削減 欧食品プラ規制対応
  • JSP・・・バイオマス原料梱包資材を発売
  • ダイセルメディカル・・・医療機器製造販売業2種許可を取得
  • 日本ゼオン・・・日光浴の支援デバイスでクラファン
  • アキレス・・・軽量な農畜産用新断熱材を発売
  • DICグラフィックス・・・色見本帳「日本の伝統色」で最新版

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ダイセル・・・セルロース関連に力 

新事業、収益化を加速

ダイセルは中期戦略で掲げる循環型社会構築への貢献など「ありたい姿」実現に向け、新事業の早期収益化へ人的資源を短期テーマと中長期テーマに区分し効率を高める。短期テーマの一つであるセルロース関連は、酢酸セルロースの競争力強化を目指して取り組む製法転換を25年度中に完了させる。さらに二酢酸セルロース(DAC)と三酢酸セルロース(TAC)の併産プロセスや原料の脱リンター化などを進める方針だ。

  • クラレ・・・再生炭事業を買収 米国で生産能力上乗せ
  • 三洋化成工業・・・SAP撤退も利益成長 中計達成へ付加価値品拡販
  • 旭化成・・・LIBセパレーターカナダ工場立地 オンタリオ州に
    旭化成はリチウムイオン電池(LIB)用湿式セパレーター「ハイポア」のカナダ新工場をオンタリオ州ポートコルボーン市に建設する。現地時間14日に同市で行った記者会見で発表した。会見には工藤幸四郎社長のほかカナダのトルドー首相も出席した。オンタリオ州は自動車生産の集積地。ハイポア工場建設に伴う合弁設立に基本合意したホンダは同州アリストンで完成車工場を運営している。ホンダは電気自動車(EV)とLIBの工場を新設し28年の商業生産開始を計画している。
    【写真】会見に同席した工藤幸四郎社長(左)とカナダのトルドー首相
  • DIC・・・新事業本部が好調 営業利益48%増 1~3月
  • UBE・・・化学部門、今期収益好転へ 樹脂・化成品が回復
  • 信越化学工業・・・シリコーン新工場中国・浙江省に建設 26年稼働
  • 出光興産・・・HIFに出資 e―メタノール供給網構築
  • ADEKA・・・高純過水の増設 富士工場で完了
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の4月国内出荷
  • ADEKA・・・半導体材料開発拠点 韓国で移転拡充完了
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2024年4月のPSP出荷実績
  • 化学製品値上げ
    ・東洋インキ・・・インキや接着剤
    ・レゾナック・・・エマルジョン
    ・旭化成・・・感光性樹脂10%以上
    ・JSPパッケージング・・・プラ食器15%以上

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  • 日本化薬・・・半導体用装置 倍増産へ工場新設 愛知で25年4Q稼働
  • 帝人・・・構造改革早期完遂 成長軌道回帰へ 2ヵ年中計を始動 今井社長「下期に成長回復」
  • デンカ・・・メガトレンド対応 電子・先端材 戦略投資を加速
  • クレハ・・・来年度営業利益目標「200億円以上」に修正
  • JSP・・・本部制移行 社内連携を強化 世界に販路拡大
  • チッソ社長に山田氏 JNCは浅野氏昇格
    チッソは、事業会社JNC社長の山田敬三氏が6月27日付で社長に就任する人事を内定した。JNCの社長には浅野進取締役常務執行役員が昇格する。チッソの木庭竜一社長は退任する。

山田敬三(やまだ・けいぞう)氏
84年九州工業大学大学院工学研究科修了、チッソ入社。18年JNC取締役常務執行役員、19年社長。福岡県出身、65歳

浅野進(あさの・すすむ)氏
84年東京経済大学経済学部卒、チッソ入社。19年取締役常務執行役員。東京都出身、62歳。

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