石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

クレハ・・・新規事業開発が進展

SiC繊維など4テーマで

クレハの新規事業開発が進展している。公表する四つの新規事業テーマのうち最も先行する炭化ケイ素(SiC)繊維は開発ステージがラボスケールからベンチスケールに移行、30年ごろに航空機エンジン部材での実用化を目指す。他の3Dタッチパネル、PFAS(有機フッ素化合物)無害化処理サービス、バイオスティミュラントも20年代に順次事業化する計画だ。

新社長 荒川化学工業 高木信之氏

水素化石油樹脂 高付加価値用に集中

ライフサイエンス事業化へ
「短期的には今年度の黒字化と、中期経営実行計画最終年度(25年度)の目標数字達成に取り組む。長期的には、ライフサイエンス分野を五つ目の事業セグメントにすることが目標だ」 高木社長が4月に就任した。光硬化型樹脂「ビームセット」や熱硬化型樹脂「アラコート」などを扱う機能性コーティング事業に主に携わってきた。荒川化学工業は創業以来、松から作る天然樹脂ロジンを軸に製紙用薬品、印刷インキ用樹脂、粘着・接着剤用樹脂、IoTを支える電子材料などの身近な暮らしへ貢献する製品を展開している。近年は電子材料分野向けの高付加価値製品として、光硬化型樹脂や半導体関連先端材料、ハードディスク向け精密研磨剤で利益を伸ばす。 しかし、23年と24年は2期連続の赤字となった。コロナ禍での急速な需要増加に対する反動で、電子材料分野向け製品の需要が低迷したこと、そしてロシアによるウクライナ侵攻によって欧州でのエネルギー事情が悪化し、主力製品の水素化石油樹脂「アルコン」のグローバル戦略を変更せざるをえなかったことが要因だ。

  • 大日精化工業・・・樹脂コンパウンド、アジア新工場建設へ 国内外でM&Aも
  • JSP・・・EPP、非自動車用途を拡大 ブランド統一し環境対応
  • 三菱ガス化学・・・自動車運搬船に燃料メタノールを供給
  • 三菱ガス化学・・・バイオメタノール、消化ガスから生産 新潟で国内初
  • ユニチカ・・・ポリエス、非金属触媒で重合 世界初の技術確立
  • 三井化学・・・ブルーキャットと共同で量子計算とAIで新用途発見を加速

<特集> 技術力発揮し成 長市場へ~エポ キシ樹脂/メー カー各社の現状 と戦略

メーカー各社の現状と戦略
エポキシ樹脂は固有の特徴が評価されて電気・電子、塗料、土木建築、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)といった幅広い用途に使用され、世界へ市場を広げている。ただし、需要増を見越した新増設が中国を中心に相次ぎ、特に汎用品市場は世界規模で需給過剰となった。一方、多くの日本企業が注力してきた半導体関連などの特殊品は、デジタル化などを追い風として高い成長が見込まれる。停滞していた需要も回復基調にあり、対象とする市場の成長を材料技術で支援することにより、事業拡大へつなげていきたい。

三菱ケミカルグループ

  • 電材関連、機能向上で重点拡大
  • パワー半導体用 低塩素化を追求

ADEKA

  • 主剤、硬化剤、希釈剤の総合力で課題解決
  • 半導体関連、後工程の特殊品に力

三井化学

  • 基本液状、安定供給で顧客支援
  • GHG削減、バイオマス化にも力

日鉄ケミカル&マテリアル

  • 難燃エポキシ、2拠点で成長を加速
  • 高周波基板用 ビニル系含め拡大

オリン

  • CFRP基板向け 川下への展開加速
  • 川上、川中 生産体制を再構築

日本化薬

  • 半導体関連、市場拡大へ積極増産
  • 高周波基板用、低誘電品の提案強化

DIC

  • 高速通信用、新樹脂を積極投入
  • 水性エポキシ、中国の拡販体制整備

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日本化薬・・・ドローン用安全装置 体制整え世界展開

品揃え拡充 新事業を拡大

日本化薬は新規事業の一つとしてドローン用安全装置の市場拡大に本腰を入れる。既に産業(無人)用として総重量25㌔㌘ドローン向け装置「PARASAFE」を上市しており、さらに今年度下期をメドに総重量が異なる4タイプを開発して幅広く提案し、量産体制を整備しながら順次市場投入していく。海外での営業活動にも注力しており、グローバルに市場を広げながら、より大型な有人用の事業化にもつなげる。35年度には周辺事業も含め売上高100億円を目指す。

三井化学・・・L&H 歯科材やパーソナルケア

成長回帰へ第3・第4の矢

ICT CNT膜やVR向け樹脂
三井化学は利益成長の回帰に向け全事業領域で変革を加速させる。長期経営計画「VISION2030」の中間地点である25年度にコア営業利益2千億円の目標達成が厳しくなるなか、各事業領域で第3、第4の矢をつがえ、利益成長を促進する。成長3領域のさらなる強化に加え、石化系事業の再構築第2幕の成果顕現も重要なカギとなる。
◇     ◇
中長期的な利益成長を牽引するのはライフ&ヘルスケア(L&H)・ソリューション事業だ。年平均20%の利益成長を続け、30年度にはコア営業利益900億円と同社最大の稼ぎ頭にする期待の事業で、ビジョンケアと農業化学品の2本柱は着実に進展している。ただ、第3の柱と期待しつつも23年度は成長が停滞したのがオーラルケア(歯科材料関連)事業だ。

  • 日本化薬・・・CAEを安全装置に データサイエンス強化
  • プラスチック循環利用協会・・・会長に旭化成工藤氏 再生材の供給力確保
  • デンカ・・・カーボンナノチューブ(CNT)新興に出資
  • 三菱ガス化学・・・PCがISCC認証
  • DIC・・・泡消火薬剤から撤退
  • 石油化学工業協会・・・5月の石化製品生産実績、5月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 化学製品値上げ
    ・ジェイ・プラス・・・ポリエス系可塑剤
    ・トクヤマ・・・PVCを18円以上
    ・信越化学工業・・・シリコーン10%以上
    ・東レ・・・合繊と不織布
    ・東ソー・・・ペースト塩ビ
    ・三菱エンジニアリングプラスチックス・・・PCを40円以上

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