石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

東レ・・・PPSコンパウンドを拡充 エコカー向け需要増に対応

メキシコとインドでの生産検討

レは海外でのポリフェニレンサルファイド(PPS)コンパウンド生産体制を拡充する。新たにメキシコとインドでも生産に乗り出す検討に入った。電気自動車(EV)などエコカー向けを中心とするグローバルな需要増に対応する。
東レはPPSのニートレジンからコンパウンド、フィルム、繊維を一貫生産し、いずれも世界ナンバーワンの事業規模を誇る。主力のコンパウンドは世界市場で3割強のシェアを持ち、名古屋、韓国、中国(深圳、成都、蘇州)、タイ、米国、ハンガリーの自社コンパウンド拠点からグローバルに展開している。さらにメキシコとインドでも生産を開始する意向だ。

新社長インタビュー カネカ 藤井一彦氏

海外・人材戦略を加速 ライフサイエンスへシフト

「当社が標榜するのは『いのちの経営』。われわれが直面する三大クライシスである「環境・エネルギー」「食糧」「健康」の危機の解決に貢献できるソリューションを提供していく」 こう抱負を語るのは、カネカの社長に4月1日付で就任した藤井一彦さん。「地球生命を健康にするテクノロジー」としてライフサイエンス領域を定義し、同領域への重点シフトを加速させる考えを示す。ライフサイエンス領域を構成する事業はメディカル(医療器)、ファルマ(医薬品)、再生・細胞医療、サプリメント(還元型コエンザイムQ10)、食糧生産支援、乳酸菌・有機酪農乳製品、生分解性バイオポリマー、太陽電池など。いずれも高い成長が期待される。「『R 2 B + P 戦略』『グローバル戦略』『人材戦略』という三つの柱で成長を促す」と意気込む。

  • 東邦化学工業・・・界面活性剤、上海工場で増設検討 日本からの移管加速
  • 公正取引委員会・・・金型無償保管を注視 供給網全体の転嫁が問題
  • ダイセル・・・脂環式エポキシ、封止材向けを拡大 パワー半導体用へ
  • ポリプラスチックス・・・LCP新系列、窒素再利用技術を導入 GHG排出を削減
  • ENEOS NUC・・・超高圧電線絶縁用架橋PEが竣工
    ENEOS NUCが川崎工業所内で増設した超高圧・高圧電線絶縁用架橋ポリエチレン(PE)設備=写真=が竣工した。生産能力は年産約3万㌧。新プラントは6月から商用運転を開始しており、7月下旬から世界に向けて販売が開始される。 新設備は鉄骨造8階建て、延べ床面積は約3500平方㍍。同社の新たなシンボルタワーとして、社会インフラ向けの需要に応えていく。 同社の架橋PEは電線の絶縁材料として優れた電気特性と高いクリーン度、加工性の良さを特徴としている。高圧法低密度PE(20万㌧)から得られる電線グレード専用の特殊レジンを独自ノウハウでコンパウンド・架橋している。

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東リ・・・タイルカーペット原材料内製化を加速

ナイロン繊維3号機増設

東リは自社のタイルカーペットの原材料であるBCF(かさ高加工長繊維)ナイロンの内製化を加速させる。今年秋に紡糸設備3号機を立ち上げ、内製化比率を25%程度に高める。原材料の調達難に対応する。
タイルカーペットの主力工場である子会社の滋賀東リ(滋賀県日野町)で21年と23年に原着ナイロンの紡糸設備1号機と2号機を稼働、今回3号機を追加する。

  • エス・ディー・エスバイオテック・・・乳牛排出メタンを酪農牧場で測定試験
  • ダイセル・・・新材料で次世代通信へ 超低誘電低温焼結 顧客評価が進展
  • DIC・・・ポリフェノール 、バクテリア由来で高純度品を共同開発
  • 宇部エクシモ・・・短繊維製品から撤退 25年3月末で
  • グンゼ・・・軽量収縮フィルム、PET飲料に採用 再生原料5%使用

マスバランス方式のケミカルリサイクル原料も使用

グンゼが開発した従来製品比で約10%軽量化したハイブリッド収縮フィルム「GEOPLAS(ジオプラス)HCX1」が、ダイドードリンコのPETボトル飲料に採用された。「贅沢香茶アイスティー」の7月製造分から採用されたもので、「葉の茶」への展開も計画されている。
同収縮フィルムは10%の軽量化でプラスチック使用量を低減した。最大収縮率は70%と高く、異形ボトルにも対応でき、収縮仕上がりが良好。ミシン目適正が良くラベル剥離が容易なのも特徴。
また、原料にグループ会社のグンゼ包装システムの印刷工程で発生した端材を約1%使用。さらにマスバランス方式によるケミカルリサイクル原料を4%以上使用し、リサイクル原料比率5%としている。

  • トーホー工業・・・EU規格EPSパレットを追加
  • 三菱ケミカルグループ・・・海洋生分解性樹脂ストローに採用
  • エム・エーライフマテリアルズ・・・えきPET吸音材 環境デザイン賞に
  • 新潟大など4者・・・安全文化診断コンソを設立
  • クラレプラスチック・・・再生塩ビで環境型ターポリン新製品
  • 帝人フロンティア・・・外国人実習生の手数料全額負担
  • プラ工連調査・・・EUのプラ再生率低下 環境先進に疑問も

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エンプラ 中国市場・・・現地企業が存在感

車両用 低廉・開発速度に強み

中国の車両向けエンプラ市場で現地メーカーが存在感を高めてきた。世界最大の自動車市場である中国で電動車を中心に中国系の自動車メーカーが急速に台頭するなか、エンプラもコスト競争力と開発スピードを背景に中国系メーカーが採用を広げている。
中国は世界最大規模のエンプラ市場。中国系企業の新増設も早くから活発化し、特にローエンドの領域は現地市場をほぼ席巻している。ただ高い信頼性が求められる車両用は欧米系や日系といった海外資本の企業が多かったうえ、日系や欧米系エンプラメーカーと比べて車両用の採用実績、品質の安定性、信頼性などが懸念され、採用を広げられないでいた。

  • レゾナック・・・米シリコンバレーに半導体後工程コンソ
  • 石油化学工業協会・・・工藤体制スタート CN・CEへGX加速
  • 電池リパーパス国際規格が発行・・・経産省が主導
  • 栗田工業・・・紙おむつ再資源化 富良野市で実証開始
  • ブラウンリバースとスペースシフト・・・構造物の歪み衛星使い確認
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の用途別出荷推移
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2024年6月のPSP出荷実績
  • カーボンブラック協会・・・5月のカーボンブラック実績
  • 化学製品値上げ
    ・三菱ケミカルグループ・・・2軸延伸ポリスチレンシート(OPS)を21日納品分から1㌔㌘19円以上値上げする。
    ・カネカ・・・変成シリコーンポリマーを8月1日出荷分から1㌔㌘40円以上値上げする。
    ・東ソー・・・機能性ウレタン製品を8月1日出荷分から値上げする。上げ幅はヘキサメチレンジイソシアネートとその誘導品が1㌔㌘120円以上、ポリカーボネートジオールとその誘導品が80円以上、ウレタン樹脂、プレポリマー類、ブロックイソシアネートが100円以上。
    ・JSP・・・発泡ポリスチレンシート(PSP)を8月1日出荷分から1㌔㌘19円以上値上げする。・
    ・積水化成品工業・・・PSPを8月1日出荷分から1㌔㌘19円以上値上げする。
    ・タキロンシーアイ・・・プレート製品、ポリカーボネートプレート、管工機材、住宅資材の樹脂加工製品を8月21日出荷分から10%以上値上げする。
    ・出光ファインコンポジット・・・オレフィン系合成樹脂複合材料を8月1日納入分からポリプロピレン系で15円以上、ポリエチレン系で20円以上値上げする。
ダイセル・・・マイクロ流路 今期中に導入実証

レジスト用樹脂皮切り

ダイセルはマイクロ流体デバイスプラント(マイクロ流路)を省エネ・省資源化や設備投資額低減に寄与する製造技術として今年度末までに新井工場(新潟県)でレジストポリマー生産設備へ一部導入する計画だ。長期的な安定生産の実証を目的とし自社の過酢酸生産設備や火薬の製造工程などへの実装を検討しながら実績を積み、将来は環境面や経済・安全性の高い生産プロセスとして社外展開も視野に置く。

三井化学・・・変革へDX駆使 新材料の探索加速 未来工場を構想

物流・廃プラ 共通課題解決に貢献

「DX(デジタルトランスフォーメーション)は企業変革を成し遂げ、当社の30年ビジョンを完遂する強力なコアツールだ」。三井化学の橋本修社長はこうした認識を示す。化学業界の中でも率先的にDXを推進してきた同社は、企業活動のすべてでDXを存分に活用し、その取り組みは検証段階から実行段階へ移行しつつある。研究開発の効率化や製造部門の安定・安全化を強力に支援。事業領域では異業種を含む多彩なステークホルダーとのコラボレーションで共通のプラットフォームとなるDXが強みを遺憾なく発揮する。
生成AIを含む最新のデジタル技術がさまざまな変革をもたらすことを熟知している。だからこそ「人とAIが協調し、相互に作用しながら変革の歯車を同時多発的に回していく。その結果としてCX(企業変革)が実現し、『化学の力でサステナブルな未来に貢献する』という2030年の当社のありたい姿に到達する」と語るのは芳野正代表取締役専務執行役員C T O(最高技術責任者)だ。ものづくりに長年携わってきた矜持であろう。メーカーとしてDXを余すところなく使いこなし、変革した先の未来でも成長を期す。

  • ポリプラスチックス・・・EV向け高摺動POM 25年にも市場投入
  • 日本バイリーン・・・車フロアマット、メキシコで増設 来年初頭稼働
  • 東邦化学中崎社長・・・リーダー育成に注力「経営人材の層厚く」

中崎龍雄社長

東邦化学工業の中崎龍雄社長の在任期間が6月末で29年目に突入した。上場会社としては異例の長期政権になっている。中崎社長は交代時期は明言しないが「複数の次期社長候補者は既に存在し後継のプランもある」と強調する。24年度で終了する現中期経営計画で業績改善の道筋を示したうえで後進に道を譲る可能性もありそうだ。
中崎社長は東邦化学株を12・02%保有する大株主。96年6月に日本興業銀行(現みずほ銀行)の金融商品開発部長から東邦化学社長に50歳の若さで就任した。今年10月に79歳になる。
東邦化学は経営陣の若返りを課題と認識。19年7月時点で社外取締役を除く取締役8人のうち50代が2人、6人が60歳以上だったが、現在は取締役8人のうち1人が40代、4人が50代、3人が60歳以上となり「世代交代は着実に進捗している」と評価する。従来3人だった執行役員にも新たに50代前半から半ばの3人が加わった。「引き続き執行体制の強化を図るとともに経営人材の層を厚くし、経営の中核を担うリーダーの育成に力を注ぐ」としている。

  • 日東紡・・・4ヵ年中計、営業益200億円に 電子と医療牽引
  • 積水化学工業・・・PSCに蓄電池接続 大阪本社で給電開始
  • デンカ米子会社・・・CR規制訴訟 控訴裁が却下
  • ENEOSホールディングス・・・原油以外の海運 日本郵便に譲渡
  • 大阪ガス・・・都市ガスコージェネ 水素30%混焼に成功

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