石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

東レエンジニアリング・・・米に営業拠点新設

LIB・半導体関連装置拡販 横浜に技術センターも

LIB電極用塗工装置「グリーンコーター」

東レエンジニアリングは米国に営業拠点を開設した。同国で需要拡大が見込めるリチウムイオン電池(LIB)・半導体関連装置の拡販につなげる。日本では装置設計やソフトウエア開発の体制強化を狙い、横浜市港北区で「横浜技術センター」を9月に始動する。積極的な拠点拡充で収益成長を加速させる。
米国営業拠点は、東レの米国炭素繊維子会社ゾルテック傘下でフィラメントワインディング装置(炭素繊維巻き取り装置)を手掛けるエンジニアリングテクノロジーコーポレーション(ユタ州ソルトレークシティー)と昨年12月に業務提携するかたちで新設。日本人スタッフ2人を今春、派遣して始動した。これをベースに米国でLIB・半導体関連装置の拡販に向けサービス網を構築していく。昨年4月にドイツのミュンヘンに販売子会社を設立し欧州でも拡販を図っている。

旭化成・・・24年度第1四半期 全セグメントで増益

好調スタート 回復と成長確実に

多角化の強み発揮 基盤素材でスプレッド確保
旭化成は24年度のスタートとなる第1四半期(4~6月)をヘルスケア、住宅、マテリアルの全セグメントで増益とし、上期(4~9月)の業績予想も上方修正した。通期予想は据え置いたが、上期の好調な流れを下期も継ぎそうだ。業績は22年度を底に回復傾向を辿っている。24年度は多角化経営の強み、すなわちコングロマリットプレミアムを発揮し、回復と成長を確実なものにする。
上期のセグメント別営業利益は、これまで苦戦を強いられていたマテリアル事業で前年同期比241億円増の418億円と大幅増益を予想。なかでも、石化系の環境ソリューション事業で大きな収益回復を果たす見込みだ。 交易易条件の改善や石化市況上昇による在庫受払益が主な増益要因だが、スプレッド確保に向けた適切な価格是正や数量回復も寄与する見込みとなっている。
ただ、堀江俊保代表取締役専務執行役員は「ベースとなるアジアの需給バランスが大きく改善している状況ではない」と警戒感を示しつつ、「価格適正化など(地道な)企業努力を重ねつつ、販売数量を伸ばしていきたい」と語る。そのうえで、西日本地区での石化再編に向けた検討の進捗について、「グリーン、エッセンシャルといった観点を盛り込み、最適化に向けた詳細を詰めているところ」として当初計画通り、24年度中に各社が共有する再編の方向性を示す構えだ。

  • JNC・・・ポストFIT 成長戦略検討 グリーン電力の価値最大化
  • 日本化薬・・・IJ色素、産業用の拡大加速 増産と水系投入で
  • 三菱ケミカルグループ・・・市況低迷で香川の高炉向けコークス生産を縮小
  • ダイセル・・・バイオマスチェーン、今期中に京大で新設備 構想実現へ前進
  • 大阪石油化学・・・エチレン稼働再開を2~3ヵ月間延期

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トクヤマ・・・歯科器材事業、国際戦略を一段と強化

各市場で販売体制強化

供給体制を相次ぎ強化するトクヤマデンタルの鹿島工場。10月には第8棟増設が完了する

トクヤマは好調が継ぐ歯科器材事業のグローバル戦略を一段と強化する。100%子会社のトクヤマデンタルが、注力市場である欧州、北米、日本で事業基盤の拡充を図るほか、アジアや中南米、さらには中国やアフリカなどの新興市場に対してもアプローチを強化する方向で検討を進める。各市場で販売体制を強化し、世界規模でのシェアアップを図る構えだ。

  • 旭有機材・・・愛知工場、電材第二工場が竣工 レジスト用樹脂生産へ
    旭有機材が愛知工場(愛知県扶桑町)で建設を進めていた半導体関連材料の新工場=写真=が竣工した。電材第二工場と称してフォトレジスト用ノボラック樹脂など製造する。総投資額は約60億円。8月から試運転を開始し、来年1~3月期には量産に入る見込みだ。 旭有機材は低メタル技術や合成技術、精製技術を駆使して半導体関連製品の事業拡大を図ることを、グループ中期経営計画「GNT2025」の重点戦略の一つに位置付けている。そこで先端半導体用とレガシー半導体用の両睨みでフォトレジスト用の材料提供体制を強化している。 引き続き中計期間中の5カ年合計で220億円を準備する投資枠のなかで、事業拡充策を模索していく。
  • ダウ・東レ・・・シリコーンゴム、EV電池周辺に力 遮炎、難燃性を向上
  • JAXA・・・AGCのイオン交換膜を酸素製造装置に採用
  • 帝人・・・国際会議で能登復興願いエコバッグ提供

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳の民間諮問機関であるAPECビジネス諮問委員会(ABAC)の会議が1~4日に東京都内で開催され、帝人は同会議の参加者に配布されるエコバッグを製作し提供した。 材料は1月1日に発生した能登半島地震によって被災した工場で使えなくなったレース生地を再利用した。帝人子会社の帝人フロンティアが工場から正価で生地を買い取り、自社のリサイクルポリエステル繊維「エコペット」を使った織物と組み合わせてエコバッグを製作した。被災した石川県珠洲市内の小中学校11校の生徒と教員が復興への思いを込めて手書きした「NOTO2024」のラベルが貼付された。

  • DIC・・・ULM品を日本投入 ポリイソシアネート 伊子会社品を提案
  • ダイセル・・・機能性食品素材を高評価背景に拡販
  • クラレ・・・不織布事業を再構築 乾式は撤退 MBに資源集中
  • 帝人・・・炭素繊維中間材がモバイル筐体に
  • DICグラフィックス・・・水性コート剤でフィルムを代替
  • クレハ・・・PVDF増設へ環境債で200億円
  • 積水化学工業など3社・・・PSC壁面設置 実証実験を開始

積水化学工業、コスモ石油、朝日エティックの3社は積水化学が製造するフィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)=写真=をサービスステーション屋根とタンク壁面に設置するための共同実証実験を7月18日から開始した。 サービスステーションの建設などを手掛ける朝日エティックの設置・施工技術を用い、コスモ石油中央研究所(埼玉県幸手市)のタンク壁面と朝日エティック東京工場のモデルサービスステーション屋根にPSCを設置。設置・施工方法の検証と発電データの測定を1年間行う。この実証で得られた結果を全国の耐荷重が少ない屋根や垂直曲面設備などへも展開することで、PSCを用いた再生可能エネルギーの導入拡大を促進する。

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ポリプラスチックス・・・LCP、配向制御技術を確立

用途開拓に力

ポリプラスチックスは液晶ポリマー(LCP)「ラぺロス」で課題の一つとされていたポリマー配向の制御技術を確立した。同技術を生かせる領域の一つとして期待するのが3Dプリンター向け。3Dプリンティング技術を含めた開発の追求により射出成形や押出成形などで実現できなかった新たな付加価値用途が開けると考え、取り組みを強化する。

  • UBE・・・CPL10㌦高の1740㌦
  • ENEOSマテリアルなど・・・タイヤ電池実証試験 佐賀・みやきで開始
  • 国際化学五輪サウジ大会 日本代表 金銀各2

左から大沼拓実さん、鈴木亜麻音さん、飯野拓人さん、斎藤健太さん

サウジアラビアのリヤドで開催された第56回国際化学オリンピックで、日本代表の生徒4人が金メダル2個、銀メダル2個を獲得した。優秀な成績を踏まえ、文部科学省はメダリスト4人全員に文部科学大臣表彰を授与することを決めた。 金メダルを獲得したのは栄光学園高校(神奈川県)3年生の大沼拓実さんと灘高校(兵庫県)2年生の斎藤健太さん。銀メダルは筑波大学付属駒場高校(東京都)3年生の飯野拓人さんと洗足学園高校(神奈川県)3年生の鈴木亜麻音さん。 今大会は7月21~30日(日本時間)に開かれ、90カ国・地域から高校生327人が参加した。直近の日本代表生徒の成績は23年のスイス・チューリッヒ大会が金2、銀2。22年の中国大会(オンライン開催)は金メダル四つだった。

  • 財務省貿易統計・・・024年6月石化品輸出実績、2024年6月石化品輸入実績
  • 塩ビ工業・環境協会(VEC)・・・6月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本スチレン工業会・・・2024年6月受払表
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・6月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本化学繊維協会・・・6月の合成繊維生産・在庫量
  • 国産ナフサ4~6月・・・9%高の7万9000円
  • 化学製品値上げ
    ・三菱ケミカルグループ・・・メチルメタクリレート(MMA)とメタクリル酸(MAA)を8月1日納入分から1㌔㌘30円、メタクリル酸エステル(BMA、HEMAなど)を30円以上値上げする。アセトンを8月1日出荷分から1㌔㌘16円以上、メチルイソブチルケトン(MIBK)とダイアセトンアルコールを21円以上値上げする。
    ・積水化学工業・・・雨どいや波板、バルコニータイルなど建材製品を10月21日出荷分から15%以上値上げする。

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クラレ・・・PA9T、DDR向け今期倍増

新たな牽引役に

クラレはポリアミド9T樹脂(PA9T)「ジェネスタ」のDDR(ダブルデータレート)コネクター向けを新たな牽引役と位置付け拡販する。既にPA9Tにとって主力用途の一つだが、5G対応や生成AI関連の需要増により同用途の今年の販売量は前年比倍増する見込み。これが牽引し全体の販売量も過去最高水準を更新できる見通しだ。特にDDR5向けはよりPA9Tの優位性を生かせる用途で、年末ごろから市場が本格化する。しばらくは高成長を持続できそうだ。

  • 積水化学工業・・・半導体製造向け材料、武蔵工場で増強 台湾にR&D拠点
  • 日本ゼオン・・・高岡工場、COP再生プラント12月稼働
  • 日本ポリエチレン・・・水島工場、HDPE1系列 来年5月に停止
  • KHネオケム・・・冷凍機油原料5割増強 千葉で完了

KHネオケムが千葉工場で進めていた冷凍機油原料の生産設備増強工事が7月完了した。世界的な需要増大に対応し、イソノナン酸(C酸)を中心とする冷凍機油原料を1・5倍増強した。今後は千葉工場全体の生産能力を増強・最適化し、収益力を一層強化する。 冷凍機油はエアコン内部で冷媒を圧縮するコンプレッサーに使われる潤滑油。同社はその原料となる合成脂肪酸と化合物を千葉、四日市の両工場で製造。潤滑油メーカー向けを中心にグローバルに販売している。【写真】増強を完了した千葉工場の冷凍機油原料プラント

  • 日本ゼオン・・・合成ゴム技術支援 インドで機能拡充 車部品向け拡販
  • 東レなど6社・・・バイオものづくり NEDOが採択
  • カネカなど4社・・・ガス発酵研究棟来年末完成へ起工

日揮ホールディングス、カネカ、バッカス・バイオイノベーション、島津製作所の4社は神戸市のポートアイランドに世界初のガス発酵によるバイオものづくり研究棟=写真は完成イメージ=を新設する。25年12月の竣工を目指し、7月29日に現地で起工式を行った。 研究棟の建設は、カネカを幹事会社とする4社がNEDOに共同提案した「COからの微生物による直接ポリマー合成技術開発」プロジェクトの一環。同プロジェクトはグリーンイノベーション(GI)基金として採択されている。敷地面積は約1万平方㍍、地上4階建てで、延床面積約4千平方㍍。数㍑から数百㍑のベンチスケールのガス培養槽を棟内に複数設置する。

  • レゾナック・・・大分コンビナートデジタル化基盤構築、日立と
  • 住友精化・・・姫路工場産SAPISCC認証取得
  • 横浜ゴム・・・グッドイヤーのOTR事業買収 9億ドルで
  • UBE・・・技術情報を効率活用 管理システム構築へ
  • 三菱ガス化学・・・精密化学や各種樹脂成長へ統合新社10月発足

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