石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

日本触媒・・・OLED材料を拡充

フィルム、折り畳みスマホ向け開発

日本触媒は有機ELディスプレイ(OLED)材料を拡充する。新たに折り畳み可能な(フォルダブル)スマートフォンのディスプレイ表面部材向けに高硬度フィルム「BFフィルム」を開発した。OLED材料の顧客へのソリューション提案力を強化する。
フォルダブルスマホのディスプレイ表面部材には、屈曲しても折れ跡が付きにくい耐屈曲性と表面硬度(弾性率、鉛筆硬度)が求められる。現在はこれらを高いレベルで両立する透明ポリイミド(PI)フィルムが主に使われている。この代替材料としてBFフィルムを開発した。

分離独立へ準備進む クラサスケミカル

独自ビジョン 収益向上とGX加速

独自の競争力強化策を加速する大分石化コンビナート

脱スタンドアローンに注目
レゾナックグループの石油化学事業を担うクラサスケミカルは、当初予定通り25年1月1日付で親会社のレゾナックホールディングス(HD)による吸収分割で事業会社となり、独自戦略に基づく事業運営を図れる体制となる。同HDの全額出資子会社として売上収益3163億円(23年12月期)規模を有する石化事業ですべての権利義務を継承。一層の収益力向上とグリーンケミストリーへの転換(GX)に向けた構造改革を加速する。数年後を視野に入れる株式上場に向けて企業価値向上を図る構えだ。
クラサスケミカルは事業会社のレゾナックの全額出資による分割準備会社として8月1日に発足した。10月22日開催のレゾナックHDの取締役会では組織再編が決議された。当初想定のスケジュール通りレゾナックは石油化学事業を分離し、12月31日付で石油化学事業部を廃止する。

  • DIC・・・PSトレー、脱色再生を来月開始 CR設備は26年稼働
  • 東レ・・・空気とレジスト浄化用フィルター、半導体工場向け開発
  • 出光興産・・・キャップをCR油に PETボトル 有用性確認 サントリーホールディングスと
  • ユニチカ・・・PAR、塗装レスで好外観 PCアロイ用を拡大
  • 日本化学繊維協会・・・燃料転換でエネ原単位改善進む
  • UBE・・・CPLの10月契約価格50㌦安1620㌦で決着

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東ソー・・・導電性高分子 無機フィラー複合品2種

太陽電池電極向けなど

セルフトロンTで作った膜の導電性を示すデモントレーション

東ソーは導電性高分子「SELFTRON(セルフトロン)」の無機フィラーとの複合化グレード2種を開発した。サンプル提供を進め、顧客の評価を得て製品化を目指す。セルフトロンの用途を広げ事業拡大を加速させる考えだ。
新グレードの一つはセルフトロンと銀の導電性繊維「銀ナノワイヤ」を複合化させた「セルフトロンG」(溶媒は水またはアルコール)。その塗膜は高い導電性(表面抵抗率10~1千㌊)と透明性(透過率95%以上)を両立するのが特徴だ。塗膜の形成方法はインクジェット塗工、パターン印刷に対応する。用途は透明太陽電池の電極などを想定する。実際にセルフトロンGを電極に使用した透明太陽電池の変換効率が銀ナノワイヤを単独で電極に使用した透明太陽電池より高いことを確認した。

  • 第一工業製薬・・・水系PU 従来品の課題解決 医療用コート材を開発
  • 東レ・・・光半導体を高速実装 材料・技術開発 28年実用化へ
  • 東レリサーチセンター・・・再生ポリマー 高精度で不純物分析 サービス開始
  • 三菱ケミカルグループ・・・植物由来PCD、バイオマス度を向上 新グレード提供
  • 岐阜プラスチック工業・・・スポーツ用移動式床材を開発 女子バレーに採用

    簡単に設備・撤収できる

岐阜プラスチック工業は、軽量・高剛性ハニカムサンドイッチパネル「テクセル」を用いた移動式スポーツフロア( 床材)「ポータブルフィット」を開発した。同製品は10月に新たに開幕したバレーボールのトップリーグ「大同生命SVリーグ」の女子チーム「PFUブルーキャッツ石川かほく」向けに採用された。11月1日から一般販売が開始される。

  • 帝人と前田建設・・・木造柱と梁を強力接合の新工法開発
  • ユポ・コーポレーション・・・使用済み投票用紙、25%配合名刺を製造 来年から一般販売
  • UBE・・・バイオベンチャーとADC共同研究へ
  • 積水化学工業・・・電気用耐火材が国交大臣認定取得

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  • MEG需給緩和続く 生産能力、世界で拡大 稼働率低下、昨年59%に
  • 旭硝子財団による24年ブループラネット賞・・・ブループラネット賞受賞2者が来日会見
    ビジョン共有「議論深化を」

    左からロバート・コスタンザ教授、IPBESのアン・ラリゴーデリー事務局長とルサンド・ディジバ博士

旭硝子財団による24年ブループラネット賞の受賞者が来日し、22日に記者会見した。同賞は環境問題解決に著しい貢献をした個人または組織に贈る国際的賞で、今年はユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのロバート・コスタンザ教授と、各国の科学者が参加する政府間組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES、ドイツ)が受賞した。
コスタンザ教授は97年の論文で生態系の価値が世界のGDPを上回ることを初めて実証し、それまで過少評価されていた生態系サービスの重要性を世界に示した。自然の枠組みの中で経済活動を捉える学術分野「生態経済学」を創り、持続可能な社会に向けた政策提言を行っている。会見で「GDPの成長だけでなく、幅広い健全性を担保していく新しい経済的パラダイムが必要」と述べ「悲観論は多いが、ポジティブな世界ビジョンをつくり共有し、議論を広げ深めていくことが重要だ」と強調した。

  • 万博日本館ユニホーム・・・植物由来ポリエス再生PET繊維も

    25年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)に経済産業省が出展する日本館のアテンダント専用ユニホーム=写真=が決定した。着心地、暑さ対策、機能性に加え環境に配慮した素材を使用しており、終了後にリサイクルされる。 デザインは「日本の美意識を纏(まと)う」のコンセプトで、クリエイティブディレクターの中田優也氏が手がけた。伝統衣装である着物の構造を基に余白を大切にする日本の感覚を体現し、応募者2695人の中から選ばれた18~70歳のアテンダント約270人が自在にスタイリングできる柔軟さを特徴とした。
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・9月のOPP・CPP出荷実績
  • 積水化学工業・・・自然に学ぶものづくり今期13件を助成
  • 豊田合成・・・ゴム再生能力年1200㌧に倍増
  • エア・ウォーター・・・神戸大に奨学金制度
  • 化学製品値上げ
    ・三菱ケミカルグループ・・・酢酸を11月1日納入分から1㌔㌘15円以上値上げする。
    ・東レ・ライクラ・・・ポリウレタン弾性繊維を11月出荷分から1㌔㌘30~50円値上げする。
    ・旭有機材・・・塩ビ樹脂(PVC)製パイプを11月1日出荷分から20%以上、同継手を10%以上値上げする。

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住友化学・・・LCP、新領域を開拓 拡大

車載や振動板・食器

住友化学は液晶ポリマー(LCP)「スミカスーパー」の事業基盤強化に向け、主力用途である民生機器の電子部品向けに拡販を継続する一方、LCPの特徴を生かした新規領域の開拓、拡大に注力する。新規領域としては高速通信関連が期待されるものの、市場の本格化が遅れている。電装・電動化が進む車載用の需要増を取り込むとともに、スピーカーなどの振動板向けや食器向けの展開も強化する。応用分野を広げ事業基盤を一層強化する。
LCPは耐熱性や薄肉での流動性、強度などを特徴とするスーパーエンプラで、同社は世界的大手に位置する。スマートフォンなどの民生機器に搭載される小型電子部品(コネクターなど)向けに多用される。民生機器の需要動向に左右されてきたが、近年は電装化などを背景に車載用も電子部品向けが拡大基調。LCPの低誘電特性を生かした高速通信関連もアンテナ周り部品や基板向けに拡大が見込まれる。

出光興産・・・持続可能な原燃料 国内に供給網構築へ協業

アンモニア 三菱商事と、メタノール 三菱ガス化

出光興産は持続可能な原燃料の国内供給網構築に向けて協業を加速させる。多様で地球環境に優しいエネルギーと素材の供給を通じて、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に貢献を目指す。
環境負荷低減型のクリーンアンモニアは、三菱商事と大規模・安定供給体制の構築に向けて共同検討に乗り出す。クリーンアンモニア運搬船や輸入基地の効率運用のほか、エクソンモービル(EM)が米国テキサス州ベイタウンで進めるクリーン水素・アンモニア製造プロジェクトへの参画を見据える。
出光興産は徳山事業所(山口県周南市)、三菱商事は波方ターミナル(愛媛県今治市)でそれぞれクリーンアンモニアの輸入体制の整備を進めており、これら拠点を連携させて輸入アンモニアの国内供給体制の拡充を急ぐ。一方、EMのプロジェクトは、製造時に排出されるCO2の約98%を回収し、カーボンフリーに近い水素とアンモニアを製造するもの。25年に最終投資決定し、29年までに世界最大規模の年間約90万㌧の水素と100万㌧超のアンモニアの生産開始を計画する。これに両社で参画し、調達先の一つを確保したい考えだ。

  • 三井化学・・・東京・八重洲に共創空間 ソリューション提案強化

    東京本社にオープンした共創空間「Creation Palette YAE」

    三井化学は顧客とのソリューション提案力を強化するため、共創空間「Creation Palette YAE」を本社が入る東京ミッドタウン八重洲の13階にオープンした。Creation Paletteは社外との共創テーマを具現化する仕組みで、YAEは各研究拠点へとつなぐ入り口。同社グループが保有する全製品と適用例を歩みや取り組みを含めて紹介する。三井化学への理解を深めてもらい、顧客ごとにカスタマイズした提案で、ともにソリューションを創出する。

    市村聡常務執行役員CSO

    マスコミ向け内覧会で市村聡常務執行役員CSOは「ソリューション型ビジネスを実現する場として共創空間を立ち上げた」と語り、この取り組みを事業化に結びつけるため経営的な重要業績評価指標(KPI)を設定する考えを示した。 YAEのデザインは社内外の壁を取り払うため「帯」をコンセプトとした。来訪者はエントランスのCollectionにあるオブジェに収められた製品を通じて対話の糸口を作り、三井化学の歴史や石油化学製品のフローを展示したBiographyで同社の全体像を俯瞰する。Seeds Specでは三井化学グループの製品・技術を技術、領域、機能別のソリューションとテクノロジープラットフォームの切り口で体験型デモンストレーションを提供し共創へのインスピレーションを高める。Recent Challengeでは社会課題に向けた取り組みや未来像を提示する。コワークエリアではLibraryにある素材や技術を探索しながら共創テーマの具体化をディスカッションする。展示エリアには5人の説明員が常駐し、顧客へのプレゼンテーションやサポートを行う体制だ。

  • 三井化学・・・韓国のMDI20万㌧設備 営業運転を開始
  • 旭化成メディカル・・・ウイルス除去膜高透水の新製品
  • ヘンケルジャパン・・・日本進出70周年
  • 大日本印刷・・・透明蒸着フィルム再生PETを使用
  • 東洋インキ・・・剥離脱墨OPP品質実用水準に
  • 三洋化成工業・・・タイ法人がパーム油RSPO認証を取得

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