石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

三菱ケミカルグループ・・・稲わら原料の断熱材開発

環境配慮型で住宅向け提案

三菱ケミカルグループは、資源としての再利用が難しいとされる稲わら・もみ殻を原料に使用した断熱材を開発した。未利用の国産バイオマスを有効活用しながら高い性能を示す断熱材として住宅やオフィス向けなどに提案し実用化を目指す。

経産省製造産業局素材産業課長 土屋博史氏に聞く

化学業界 25 年の展望と課題

サプライチェーン強靭化へ 対話通じて認識共有を
基礎材料 安定供給は付加価値
能力適正化 市場ニーズから逆算
18日、第7次エネルギー基本計画が閣議決定された。構造的変化にさらされている化学業界もこの計画に基づいてカーボンニュートラル(CN)の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)を一段と加速する。さらに事業ポートフォリオ改革や供給能力の適正化、経済安全保障と、25年も注視すべき課題は多い。経済産業省製造産業局の土屋博史素材産業課長は、「サプライチェーン全体の強靭化が重要」と強調し、それには各階層の上下間、異業種間の対話を通じて付加価値に対する認識を共有し、価格戦略に落とし込むことが肝要」と説く。土屋課長に話を聞いた。
◇   ◇ ―石化基礎化学品の生産能力の適正化の議論が大詰めを迎えるなか、基礎素材の経済安全保障を注視すべきとする声が高まっています。
 事業縮小や撤退のタイミングで需要業界から「それは困る」という声が出されている。汎用の基礎素材が実は高付加価値製品の生産に必要不可欠で置き換えが効かない。つまり、高品質な基礎化学品の安定供給自体が付加価値だと認識されつつある。素材価格が不当に安く抑えられればサプライチェーン自体がリスクに陥りかねない。安定供給の価値を価格に反映するという認識を川上から川下まで共有し、サプライチェーン全体が強靭化していくことが今、最も重要な課題だ。
―化学業界では価格戦略が奏功し、収益改善が図れた事例もあった。物価高の背景もあって、価格転嫁がしやすい状況が整いつつあるのでは。

  • 東レ・・・高除去UF膜、下廃水処理向け開発
  • クラレ・・・建築用ガラス中間膜、米で設備増設検討 26年までに決定
  • UBE・・・新社長に西田祐樹氏 構造改革加速 スペシャリティ企業へ

    西田次期社長(左)と泉原社長

    UBEは19日開催の取締役会で次期社長に西田祐樹代表取締役専務執行役員が4月1日付で昇格するトップ人事を決めた。泉原雅人社長は代表権のない会長となる。都内ホテルで行った記者会見で西田氏は「25年度からの次期中計でスペシャリティ化学企業への構造転換を迅速かつ強力に進めていく。また、研究開発の増員などにより技術革新も強化し、イノベーションパートナーとして顧客からファーストノックを受ける企業を目指す。地球環境保護や地域社会への貢献にも注力していきたい」などと抱負を述べた。
    西田祐樹(にしだ・ゆうき)氏 87年3月に広島大学大学院工学研究科応用化学専攻修了後、宇部興産(現UBE)に入社、16年4月に執行役員化学カンパニー電池材料・ファインビジネスユニット長、19年4月に常務執行役員化学カンパニーナイロン・ファイン事業部長、22年4月専務執行役員社長補佐、生産・技術本部長、DX推進室長、情報システム部担当、24年6月から代表取締役。広島県出身、63歳。

  • 大倉工業・・・新中計策定、事業領域拡大に注力

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  • トクヤマ・・・放熱材、フィラー用の展開加速 窒化物品揃え拡充
  • 日本化薬・・・光学フィルム、HUD用が倍増 採用車種拡大
  • 日本化薬・・・自動車安全部品、中国事業を加速 ローカル顧客拡大図る
  • 中央化学・・・食品容器 環境配慮型を拡充 でんぷん配合品を投入

    でんぷんを配合した食品容器「CST」

    中央化学は、地球環境に配慮した食品容器のラインアップを拡充する。昨年12月に産業用でんぷんとポリプロピレン(PP)を配合した「CST」シリーズを上市した。23年10月に上市した紙容器「SKS」シリーズと同様に中国事業で培った開発力を生かして製品化にこぎ着けた。さらに年内には二つの製品を投入する予定。消費者の環境意識が高まるなか環境配慮型製品の提案力を強化していく。

  • ダイセル・・・界面活性剤、化粧品用に新製品 単独でとろみ付与
  • エフピコ・・・水平リサイクル拡大 94社2886店舗と協働宣言
  • 帝人とデンヨー・・・可搬型燃料電池発電機で連携
  • 横河計測・・・光デバイス試験用光スペクトラム分析器
  • 東洋紡エムジー・・・PPE繊維化に成功 溶融紡糸で世界初
  • 東レエンジニアリング・・・半導体向けガラス基板 内部検査装置を発売 裏表対応は業界初
  • ユニチカ・・・ナイロン樹脂などISCC認証取得
  • 日本ポリエチレン・・・全4工場ISCC認証の取得を完了

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カセイソーダ急騰 アジア500㌦前後に

アルミナ向け 中国で拡大

アジアでカセイソーダの価格が急騰している。北東アジアFOB(本船渡し価格)は2月第3週に1㌧470~520㌦(中値490㌦)を記録。旧正月期間の1月第5週の415~430㌦から15~20%上昇した。塩素サイドの市況の悪さからカセイソーダの評価が下がらないなか、アジア域内の需給バランスがウエルからタイト寄りで推移している。中国国内でアルミナやニッケル向けにカセイソーダの新規需要が立ち上がり、アジア向け輸出がその分抑えられたことが市況高騰の背景にある。

  • DIC・・・次世代電池材料、有機系重点に開発 早期収益化めざす
  • ピエクレックス・・・PLA製圧電繊維堆肥化実証が進展
  • NEDO・・・量子コンピューター利活用事例集を公開
  • 日本製紙など3社・・・バイオエタノール 岩沼市で生産開始
  • 三井物産など・・・合成燃料事業米社に出資参画
  • 日本プラスチック工業連盟・・・日韓台動向 プラ生産・貿易韓国は回復傾向
  • 石油化学工業協会・・・1月の石化製品生産実績 1月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 塩ビ工業・環境協会(VEC)・・・1月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本スチレン工業会・・・2025年1月受払表
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・1月のOPP・CPP出荷
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2025年1月のPSP出荷実績
  • 東洋紡エムシー・・・水現像感光性樹脂凸版とフレキソ版、スクリーン印刷用厚膜フィルム を5月1日出荷分から5%値上げする。

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ダイセル・・・機能フィルム、機器改造差別化加速

経営資源、亀岡工場に結集

ダイセルは機能フィルム事業の成長加速に向け、M&Aにより関連技術を含めて取得した亀岡工場(京都府)に保有する技術力や素材、機器を結集し、差別化したフィルムの供給を25年度から本格化させる。同工場で進めていた増産や機能向上を目的とする機器の改造が完了し、これを受けて拡充した機器や設備、技術にグループのコーティング材や樹脂を融合して新たな付加価値を提案し、さらなる市場拡大や収益向上につなげる。

  • 東レ・・・ナイロン66、亜臨界水で解重合 CR技術を開発
東亞合成・・・基幹化学品が安定成長

高機能・付加価値事業を拡大 25年 新製品と海外強化

東亞合成は、電解製品やアクリルモノマーといった基幹化学品の安定成長が足元の全社収益を押し上げている。高機能・高付加価値事業の拡大を目指す同社にとってポリマー・オリゴマー事業や接着材料事業、高機能材事業の拡大は必達目標であり、これを着実に推進している。ただ、成長速度は当初の想定よりも遅い。23~25年中期経営計画の目標を達成できなければ、その主因となる可能性がある。
同社の24年の連結業績は売上高が前年比5・2%の増収、営業利益13・9%増、経常利益10・3%増と2ケタの増益を記録した。
基幹化学品セグメントは、カセイソーダなど電解製品の販売数量が全般的に回復している。アクリルモノマーも増販に加え、原料価格上昇に応じた価格改定が進んだ。この結果、前年に比べて売上高が7・7%の増収、営業利益が25・6%の大幅増益となった。同セグメントの売上高791億4500万円は他のセグメントに対して圧倒的に大きく、全社売上高の47%強を占める。営業利益も85億100万円で59・7%を占めた。

  • 東洋紡エムシー・・・超高分子量ポリエチレン(HMPE)繊維、洋上風力係留索に 蘭社と協業
  • UBE・・・米ルイジアナ州でDMC・EMC起工
  • 日本ゼオンと横浜ゴム・・・植物由来ブタジエンベンチ設備26年稼働
  • クラレ・・・環境貢献製品、売上高比率58%に 今後は利益を重視
  • 三菱ケミや鹿嶋市・・・プラ容器循環で6者が包括連携

    田口伸一市長(左端)、板東健彦・三菱ケミカルベーシックマテリアルズ&ポリマーズビジネスグループ戦略企画本部CN・CE戦略部長(左から3人目)ら関係者

    三菱ケミカル、茨城県鹿嶋市、リファインバース、東洋製罐グループホールディングス、キユーピー、カスミの6者は茨城県内でのプラスチック容器循環を目指す包括連携協定を14日付で締結した。自治体と回収業者、素材メーカー、容器メーカー、食品メーカー、小売りの強みを生かし、それぞれがプラスチックをリレー形式でつなぎ循環を目指す実証実験プロジェクト「プラリレープロジェクト」を始動する。
    具体的には、生活に身近なドレッシングのポリプロピレン製キャップとポリエチレン製中栓を対象にケミカルリサイクルの循環プロセスを構築する。鹿嶋市の公立小学校やカスミの鹿嶋スタジアム店でドレッシングのキャップ・中栓の回収実験を行い、回収されたキャップ・中栓をリファインバースで1次処理し、三菱ケミカルで油化、同社子会社の日本ポリプロと日本ポリエチレンで樹脂化、東洋製罐グループHD子会社のメビウスパッケージングで再度ドレッシングのキャップ・中栓に成形、キユーピーでドレッシングを製品化、カスミの鹿嶋スタジアム店で販売するかたちで再び鹿嶋市民の手元に戻るという一連の循環サイクルを実現する。

  • エア・ウォーターグループ・・・4㍋㍗ソーラー防府工場に導入

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