
石油化学新聞 5429号(2025.4.7)
THE PETROCHEMICAL PRESS
2025化学品動向 この人に聞く XPS
デュポン・スタイロ社長 有友 完氏
付加価値追求 成長へ省エネ住宅に力
ビル用も拡大 断熱、施工性を訴求
―24年の新設住宅着工戸数は前年比3・4%減の79万戸強と09年以来の80万戸割れで、押出法ポリスチレンフォーム(XPS)の使用量が多い持ち家も2・8%減少しました。戸建て住宅の断熱材向けを主力とするXPSの昨年の市場動向は。
住宅着工戸数は少子化の影響もあって減少傾向にあり、XPSも24年の出荷量は減少した。ただし、出荷額はコスト上昇分の価格転嫁に加えて付加価値品の拡大による単価アップなどにより、前年並みを維持している。付加価値品では、薄肉でも高い断熱性を実現できる熱伝導率の低い(熱抵抗の高い)タイプなどが着実に増えてきいている。1戸当たりのXPS使用量も高断熱化のニーズを追い風として増加する傾向だ。ビル(RC造)向けなど、戸建て住宅以外の用途も総じて堅調だ。
―戸建て住宅用以外の用途は。
―倉庫向けや土木向けも特徴を生かせる用途として期待されます。現状は.
- 東海カーボン・・・カー黒、米国販売で複数年契約 持続的な事業成長へ
- 東亞合成・・・UV硬化型 防湿絶縁コート剤拡販 車載電材で高評価
- 信越化学工業・・・医薬用セルロース増産 日独に100億円投資
- 丸善石油化学と住友化学・・・千葉エチレン生産最適化で正式合意
THE PETROCHEMICAL PRESS
- リスパック・・・食品容器、リバーシブル機能付与 作業性や陳列効率向上
リバーシブル機能を持つ食品容器
プラスチック食品容器大手のリスパックは、本体の裏表どちらの面でもふたにはまる「リバーシブル機能」を持った食品容器を提案する。近年、食品容器には高騰する食品の量目変更や、充填作業の効率化が求められており、新製品はこうしたニーズに対応する。売り場の困りごとを解決する商品を開発しシェア拡大を図っていく。
- 日本化薬・・・ドローン用安全装置、作動の互換性拡大 運用安全性を向上
- エフピコ・・・食品容器水平リサイクル拡大 スーパー協働110社に
- UBE・・・ショールームをリニューアル開所
UBEは、グループの歴史や製品・技術を紹介する総合案内施設として宇部事業所本館内で07年に開設した「UBE i―Plaza」を新ショールーム「ユースクエア」=写真=としてリニューアルし、1日から開所した。 ショールームの概要紹介、グループの最新技術、暮らしの中のUBEを体感できる製品ライブラリー、グループの歴史の各コーナーに加え、6月には来場者とともに新しい未来を創るオープンイノベーションスペースも開所する予定
- エフピコ・・・中部第一工場にPV設備を導入
- ハイケム・・・藻類培養設備で中国企業と提携
- 旭有機材・・・世界最高断熱性能発泡ウレタン発売
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 旭有機材・・・ノボラック、中長期需要見据え国内3工場を検討
- ウレタン原料ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)・・・冷蔵庫向け断熱材好調 ポリメリック高値継続
- 日本触媒など・・・紙おむつMR、CO2年2813㌧削除 効果検証
- プラスチック循環利用協会・・・汎用6樹脂のLCI値更新
- 日本ポリプロ・・・ISCCプラス認証全3工場で取得完了
- クラレ・・・ISCCプラス認証、鹿島事業所は2製品
- 化学製品値上げ
・東洋紡・・・アクリル機能繊維と機能資材を5月1日出荷分から15%値上げする
・出光ファインコンポジット・・・ポリオレフィン複合材料を5月1日納入分から値上げする。上げ幅はフィラー含有難燃V―0品が1㌔㌘208円以上、ノンフィラー難燃V―0品が119円以上、難燃V―2品が51円以上
・三井化学・・・エラストマー3製品を5月1日納入分から1㌔㌘25円以上値上げする。ポリウレタン樹脂を5月7日出荷分から1㌔㌘40円以上値上げする。
- 財務省貿易統計・・・2025年2月石化品輸出実績、2025年2月石化品輸入実績
- 塩ビ工業・環境協会・・・2月のPVC、VCMの生産・出荷
- 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・2月のOPP・CPP出荷実績
- 日本スチレン工業会・・・2025年2月受払表
- 日本プラスチック板協会・・・2月の硬質塩化ビニル平板生産出荷実績、2月の硬質塩化ビニル波板生産出荷実績、2月のポリカーボネート平板・波板生産出荷実績
- 日本化学繊維協会・・・2月の合成繊維生産・在庫量
THE PETROCHEMICAL PRESS
- 日本化薬・・・IJインク、今期中に水系投入 食品軟包装に標準
- UBE・・・社長直轄でM&A 新たなコア獲得へ。ランクセスからウレタン事業取得を完了
- 東レ・・・水処理・分離膜 売上収益35年度3倍に 製品・ビジネス創出加速
東レは水処理・分離膜事業の売上収益を30年度に24年度比2倍、35年度に同3倍に拡大させる目標を示した。主力の水処理分野は海水淡水化用途などの事業拡大を継続しながら、膜周辺技術による新ビジネスを創出する。医療材分野も伸ばし、複数の新製品も相次ぎ立ち上げる。
水処理分野は世界で唯一、逆浸透( R O )、ナノろ過( NF)、限外ろ過(UF)、膜分離活性法(MBR)の全膜種を自社技術で保有するのが強み。売上収益は現在1千億円強と推定される。過去10年の年平均成長率は10%と高く、23~25年度の中期経営計画の目標を24年度に1年前倒しで達成、30年度に24年度比1・6倍に高める計画だ。投下資本利益率(ROIC)も2ケタの高水準にある。
- 三洋化成工業・・・物流子会社の業務 人員含めDHLに
樋口章憲社長(左)とDHLのジェローム・ジレ社長
三洋化成工業はDHLと日本国内での5年間のリード・ロジスティクス・パートナー(LLP)契約を締結した。物流子会社、三洋化成ロジスティクスが担ってきた国内物流機能をDHLが継承する。
名古屋、衣浦、鹿島、京都、川崎の工場内物流拠点でDHLは入荷、保管、出荷にかかわる物流サービスを包括的に提供。10月には三洋化成ロジスティクスの従業員約30人がDHLに継承され物流のプロとしてキャリアアップを目指す。 - ダイセル・・・アセテートトウ、3拠点を一体運営 富山を完全子会社化
- 日本化薬・・・次期社長に川村取締役常務執行役員 グローバル展開を加速 人材育み良心結合
涌元厚宏社長(右)と川村茂之次期社長
日本化薬は次期社長に川村茂之取締役常務執行役員が昇格するトップ人事を内定した。6月26日開催予定の株主総会と取締役会を経て就任する。涌元厚宏社長は相談役となる。川村氏は会見で「各事業には特徴を持った技術がある。コアコンピタンスを融合させてシナジーを創出し新市場を開拓したい」と抱負を述べた。課題は「100年に一度の変革期と言われるなか、グローバル展開の加速と人材育成が重要なテーマだ。株主価値の向上や働き方改革にもスピード感を持って取り組まなければならない」との認識を示した。
涌元氏は社長就任後の6年間を振り返った。25年度まで4年間の中期経営計画では売上高2300億円、営業利益265億円、ROE8%以上を目標に掲げたが「売上高が計画を上回るものの利益が付いてきていない。ROEも株主資本が膨らみ達成が難しい状況にある」と指摘。新体制の下、資本政策を駆使してROE目標の達成に注力する考えを示した。中計を1年残しての社長交代になるが「25年は5年、10年先を見据えて当社のありたい姿を描く重要な年になる。新社長が成長シナリオやロードマップを策定し実行していく形が望ましい。4月から新体制に移行するため、このタイミングを選択した」と語った。川村氏を「(エアバッグ関連製品など)セイフティシステムズ事業の業績を大きく伸ばした実績がある。中国では総経理時代に収益基盤を確立し、国内では姫路工場にセイフティの本社機能を集中させ成果に結びついている。当社のリーダーにふさわしい人物だ」と評価した。
川村氏は医薬事業で19年間MRとキャリアを積み、セイフティシステムズ事業で調達、営業、企画を担当してきた。事業の成長には「信用が大切」と強調する。社是の一つ「良心の結合」に心を砕く。 川村茂之(かわむら・しげゆき)氏 87年関西大学法学部政治学科卒、日本化薬入社。19年執行役員、21年上席執行役員、22年常務執行役員、23年取締役。大阪府出身、61歳。
- 日本ゼオン・・・川崎工場と総合開発センターを一体運営
- 東レリサーチ・・・バイオ医薬品開発支援強化
- 三菱ケミカル・・・PETボトル撤退。 福島2工場生産終了。 森林資源由来SAF製造商用化へ検討。
- 積水化学工業・・・福島県のPSC研究事業に参画
- クラレ・・・基材表面改質 新興を買収
- アズビル・・・中国現法2社を統合
- ダイセルと三井化学・・・農業用発泡プラ会社、JSKに全株式譲渡
- JSR・・・エマルジョン事業、日触への譲渡完了
- 三井化学・・・相談役・顧問制廃止