石油化学新聞

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リサイクル樹脂 改質剤開発の動き加速

三井化学、東ソー、ADEKA

リサイクル樹脂向け改質剤を開発する動きが加速している。三井化学は、リサイクル樹脂の耐衝撃性改良剤としてオレフィン系エラストマー「タフマー」の提案を開始。多層フィルムなどの加工工程で発生する樹脂端材のリサイクルプロセスで使う相溶化剤「アドマーEF」も開発した。東ソーも相溶化剤「メルセンS」を開発中で22年までの実用化を目指す。ADEKAは大手樹脂添加剤メーカーとして、リサイクル樹脂向け添加剤を拡充する。各社ともマテリアルリサイクルの促進に貢献する考えだ。

ポリプラスチックスは、長繊維強化熱可塑性樹脂「プラストロン」事業を今年度半ばまでに親会社のダイセルから継承し、新しい柱の候補として拡大を加速する方針だ。プラストロンは幅広い強化繊維と樹脂を使用した材料を揃え、高度化・多様化するニーズに対応できる体制にある。量産体制もダイセルの広畑工場(姫路市)に整備しており、材料の持つ特徴が発揮できるハイエンドな市場をエンプラの世界的大手として蓄積したノウハウと販売網で広げていく。

  • 日本化薬・・・半導体関連、前工程向け事業拡充 顧客への提案力強化
  • セーレン・・・車両資材、ハンガリーに新工場 世界展開を加速
  • 宇部エクシモ・・・光通信資材、日中で生産再構築 中国は増速化で増産
  • 花王・・・購入電力、再生可能エネルギー化加速 25年に世界で達成
  • 新社長インタビュー 三洋化成工業 樋口章憲氏

〝ワクワクする〞会社に
ケミカル以外の新事業も
「もっとワクワクする面白い会社にしたい。間接部門を含め全部署が当社の企業価値向上に貢献するプロフィット部門であると評価し、全従業員がモチベーション高く仕事に臨む窑台を作ることが私の使命。スピード感さえ手に入れればどんな会社にも負けない」
三洋化成工業の次期社長に内定した樋口代表取締役執行役員副社長。84年に東京理科大学大学院工学研究科を卒業後、同社に入社したが、わずか6か月後に関係会社のサンノプコに出向を命じられ、そこで社長にまで上り詰めた。14年に執行役員として三洋化成に帰還
すると、特にここ数年は安藤孝夫・現社長(次期会長)の懐刀として社内の風土改革や、中止にはなったが日本触媒との経営統合協議など経営戦略の最前線で飛び回ってきた。
「実はこの5年間、好きなことをさせてもらった」と明かしつつ、今後の舵取りについて「もっと良い会社にしたいという点で安藤さんとは同じ方向を向いている。しかし、やり方は必ずしも同じではない。前向きに自分らしく挑戦していく」と強い意欲を示す。

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「Vector(ベクトル)」化学企業トップは語る2021年版
今後の指針、業界分析に 好評発売中‼

石油化学新聞社は4月に新書籍「Vector(ベクトル)―化学関連企業トップは語る2021年版」を発売します。2021年版では、弊社の石油化学新聞・新年号で毎年行っている化学関連企業のトップインタビューを19〜21年の3年分収載。各社の企業紹介や研究開発部門トップのインタビューも併せて掲載しています。また、巻頭には19年ノーベル化学賞を受賞された旭化成の吉野彰名誉フェローの特別インタビューも掲載。内容の一層の充実を図っています。激動の時代に各社トップが何を考え、実行に移してきたのか。自社をどのように変え、導こうとしているのか。今後の事業活動の指針となることはもちろん業界動向の分析、社員研修、リクルート、学生の企業研究など幅広いシーンで活用していただけるものと考えております。

【体裁・価格】A4判約270㌻・定価3300円(税込み、送料別)
【申し込み先】こちらから

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  • 大成ラミック・・・液体包装フィルム、バイオPE品開発 上期にも本格販売
  • 帝人フロンティア・・・超軽量エアーテント、感染対策向け拡販
  • エクセルシャノン・・・樹脂サッシ、高性能品軸に拡販 30年度3万棟へ
  • 旭化成・・・タイの不織布増設急ぐ 21年度販売開始へ
  • ダイセルパックシステムズ・・・PS系容器素材、PLA30%品を投入
  • 宇部エクシモ・・・PP中空構造板、用途広げ収益拡大 量産効果を最大化
  • 日本ゼオンなど3者・・・バイオブタジエン効率生成に成功
  • 積水化成品工業・・・植物由来発泡体がバイオマスマーク
BV/RV認定を進化させる三井化学

環境貢献とQOL向上 可視化し成長の基準にカーボンニュートラルにも活用

三井化学は、環境貢献価値「BlueValue(BV)」とクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上価値「RoseValue(RV)」という独自の指標に照らし、20年度に23件の製品・用途を新たに認定した。BV/RVの取り組みは長期経営計画の環境・社会軸におけるKPI(重要経営指標)であり、今や全社的活動として浸透。現在、策定検討中の30長計でも同社のビジネスの持続可能な成長を示す基準という観点から、より重要視されるだろう。特にBVはカーボンニュートラルの実現に向けた施策として、バリューチェーン全体でのGHG削減貢献製品の拡大が焦点となる。

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低誘電材料 6G見据え開発加速

高周波回路基板向け 複数の機能兼備へ

5G対応を見据えた高周波回路基板用に、基板の機能と低誘電特性を兼備する樹脂の開発、投入が活発化している。フッ素系樹脂(PTFE)、液晶ポリマー(LCP)、変性ポリイミド(MPI)などが使われる見通しだが、6Gを見据え低誘電特性に優れる環状オレフィン系樹脂やシンジオタクチックポリスチレン(SPS)なども採用を狙う。現状で低誘電特性などの機能や加工性、コスト面などの顧客要求をすべて満足させる材料は見当たらず、適材適所に多くの樹脂が使い分けられそうだ。

  • 帝人フロンティア・・・再生エステル、超極細繊維を量産 売り上げ目標 25年度8億円
  • ダウ・・・シリコーン、電動車向け拡大 ADAS高効率化も
  • プラくず・・・輸出急減 改正バーゼル法が影響
  • AGC・・・車内装を製品化へ デザイナーと協創
  • 理研計器・・・大気中光電子収量分光装置を開発
  • カネカ・・・生分解性PHBHストローがカフェに
  • 出光興産・・・再エネ走行EV 北海道製油所に
  • 横河電機・・・プラント自立制御でNTTドコモと実験
  • 日本ABS樹脂工業会・・・国内出荷2万トン超え
  • 東洋エンジニアリング・・・ごみ由来のエチレン 住友化学から設備受注
  • 化学製品値上げ
    ・三井化学SKCポリウレタン・・・MDI類を60円以上
    ・三菱ケミカル・・・VAMを25円。酢酸と酢酸塩類を5月1日出荷分から値上げ
    ・三菱ケミカルインフラテック・・・樹脂板と塩ビ波板
    ・ジェイ・プラス・・・DOTPなど可塑剤
    ・旭化成・・・MMAとCHMA。アクリル樹脂を30円
    ・DIC・・・ウレタンと着色剤
    ・積水化学工業・・・塩ビ管など管材
    ・クボタケミックス・・・塩ビ・ポリオレ管

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この人に聞く 2021化学品動向 ポリスチレン

PSジャパン社長 室園康博氏

―20年の需要はどうでしたか。昨年のPSの国内出荷は60万7千㌧と前年比6%(3万6千㌧)減少した。コロナ禍の影響が色濃く出た4〜6月が13万8千㌧と前年同期比で20%(3万4千㌧)減少し年間の落ち込みの大半を占めた。8月も夏祭りや花火大会などのイベントが軒並み中止となった影響で落ち込んだ。しかしこれらの時期以外の需要はおおむね堅調だった。 用途別は電機・工業用が13%減の7万1千㌧と落ち込んだが、包装用は4%減の26万7千㌧、雑貨・産業用は5%減の8万6千㌧、FS(フォームスチレン)用は4%減の18万2千㌧と比較的小幅な減少にとどまった。 包装用と、FS用に含まれるPSP(発泡スチレンシート)用を合わせ食品容器・包装用は国内出荷全体の6割強を占める。昨年はイベントの中止で飲料・弁当容器向けが減少し訪日客が購入するみやげの包材向けなども減った半面、顕著だったのは巣ごもり消費の拡大に伴う宅配や持ち帰り用の食品包装容器需要の増大だ。取扱飲食店や宅配業者も増え確実にマーケットが拡大しており、汁漏れを防ぐ密閉性の高いPS製の嵌合(かんごう)ぶたが採用されるなど、新たな需要が生まれてきている。

  • 東洋紡・・・廃CFを不織布化 コンポジット材市場開拓
  • 日本化薬・・・エポキシ、CFRP向け強化 靭性や弾性改質
  • 東レ・・・CO2分離膜を新開発 オールカーボンで性能と耐久性高く
  • 三菱ケミカル・・・バイオPBSコンパウンド、海洋生分解を確認
  • 宇部興産建材・・・ベトナムに販社設立 ASEAN市場拡大
  • 三菱ケミカル・・・月面探査車にCFRP提供
  • 昭和電工マテリアルズ・・・診断薬事業を完全子会社化
  • 旭化成・・・欧州統括拠点を移転 営業・開発機能統合

 

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