石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

東レ・・・ポリイミド、東海工場で倍増設 NMPフリー品発売も

パワー半導体需要増取り込み

東レは、感光性ポリイミド(PI)事業を拡大する。東海工場で生産設備を倍増設し、23年度後半に稼働する予定だ。有機ELディスプレイや半導体向けの需要増に対応する。また、感光性PIコーティング剤で、合成工程の溶媒に毒性のあるN―メチルピロリドン(NMP)を使用しない環境配慮型製品の本格販売を開始した。パワー半導体用途を中心に拡大する需要を取り込む。

東レ・・・樹脂・ケミカル事業拡大へ 取締役専務執行役員 首藤和彦氏に聞く

PPS 韓国増設で供給力強化 DMSOなど新規投資も

取締役専務執行役員
首藤和彦氏

東レは樹脂・ケミカル事業で成長戦略を加速させる。樹脂事業は韓国でポリフェニレンサルファイド(PPS)生産設備を増設し、ケミカル事業でも需要が好調な製品の増産投資を進める考えだ。樹脂・ケミカル事業本部長を務める首藤和彦取締役専務執行役員に事業戦略を聞いた。
―樹脂事業の重点施策を聞かせてください。
当社が持つ樹脂材のすべてが重要だが、特にPPSとABS樹脂の拡販に注力する。
ABS樹脂は高機能化という流れで、台湾や韓国の世界的大手との差別化、高付加価値化を図りながら事業を拡大する。家電などに使う主力の透明グレードに加え、耐熱グレードなどを拡充し自動車分野にもしっかりと入っていく。生産拠点は千葉工場とマレーシアにあり、マレーシア拠点は成長市場の東南アジアに立地し、最大市場の中国に関税がかからずに輸出できるのが強みだ。22年度は中国のゼロコロナ政策などによる需要低迷で大変厳しい事業環境にあるが、23年度以降の成長軌道への回帰を期待する。

  • ダイセル・・・車安全部品生産 タイと中国に集約化
  • 日本触媒・・・研究試薬用、世界市場でHDO展開 子会社とライセンス契約
  • クラレ・・・タイで顧客評価開始 PA9Tコンパウンド
  • 大倉工業・・・成長投資、高付加価値分野軸に 3ヵ年で300億円継続
  • ソフトバンクや産業技術総合研究所・・・高容量有機正極2次電池 早期実用化へ開発加速
  • 東洋エンジニアリング・・・細井栄治専務執行役員が社長に昇格

東洋エンジニアリングは、細井栄治専務執行役員・プラントソリューション事業本部長が6月28日付で社長に昇格する人事を決定した。永松治夫社長は取締役会長に就く。
細井栄治(ほそい・えいじ)氏 1982年北海道大学工学部卒業、同社入社。2015年執行役員、18年常務執行役員、20年専務執行役員、プラントソリューション事業本部長。

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東亞合成・・・半導体材料を安定供給

高純度液化塩化水素 横浜で3~4割増強

再エネ関連投資も検討
東亞合成は半導体・電子材料向けの高純度無機化学品の主力製品である高純度液化塩化水素の安定供給体制を一段と盤石なものにする。横浜工場で生産能力を3~4割増強し、徳島工場では充填・輸送体制の強靭化工事を行う。名古屋工場では高純度カセイカリを増強する。

  • 日本化薬・・・偏光板、応用領域拡大に拍車 HUD周りも進展
  • 帝人グループ・・・「フェムテック」拡販 子供用入浴着を開発
  • ポリプラスチックス・・・POMでEV化対応 冷却水周りに力
  • 東洋紡・・・FO膜、デンマークで世界初 浸透圧発電に採用
  • 東京都立大研究チーム・・・C―OのC―Si変換触媒を開発
  • 帝人とアクセリード・・・創薬研究の共同出資会社設立へ
  • 産業技術総合研究所・・・メタノールを回収する新吸着材開発
  • 三菱ケミカルグループ・・・EVOHなどでISCC認証取得

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ポリプラスチックス・・・PEKを本格投入

4月から 超耐熱領域カバー

ポリプラスチックスは超耐熱スーパーエンプラ、ポリエーテルケトン(PEK)を4月に本格上市する。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を展開するグループ企業のポリプラ・エボニックと連携し市場開拓を進めた結果、商業化の見通しが得られたため、商標を設定しラインアップに加える。保有するエンプラで対応が難しい超耐熱領域をカバーし、顧客に提案できるソリューションの幅を広げる。

  • UBE・・・2月CPL、8ヵ月ぶり値上げ
  • 三井化学・・・新幹線沿線に防音材 不織布で全天候対応
  • ハリマ化成・・・ため池に太陽光パネル 年90万㌔㍗時発電
  • シェル・・・再生可能天然ガス生産会社の買収完了
  • 日本化学繊維協会・・・化繊協セミナー 炭素繊維「飛躍期に」
  • 日本スチレン工業会・・・2023年1月受払表
  • 塩ビ工業・環境協会・・・1月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 財務省貿易統計・・・プラくず輸出動向
  • 日本プラスチック工業連盟・・・プラ原材料と製品の在庫月数推移
  • シェル・・・LNG展望2023 LNG貿易、欧州が主導権拡大
  • 化学製品値上げ
    ・東亞合成・・・塩酸を6円以
    ・日本触媒・・・AMEとAIN
    ・デンカ・・・SM4月から10円

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  • 日本化薬・・・色素素材、環境対応に本腰 IJインキ・感熱剤
  • 三菱ケミカルグループ・・・PMMA、廃車から回収再生 東京海上と連携
  • 東レ・・・GX・次世代移動体 名古屋に新研究棟 26年竣工
東亞合成・・・業容と利益拡大 新たな成長ステージへ

25年に売上高1830億円

髙村美己志社長

東亞合成は研究開発力の強化と高付加価値事業の拡大を基本戦略とする23~25年の3カ年中期経営計画を始動した。前中計を踏襲し経営資源を成長事業に積極投入。目玉の施策として川崎工場のプラント跡地を候補地に首都圏に大型の研究所を新設し、名古屋のR&D総合センターとの2大研究拠点体制を構築する。注目すべきは中計最終年の25年に売上高が過去最大の1830億円に拡大する点。業容拡大と利益成長を両立させ、新たな成長ステージに上る。

  • 徳山積水工業・・・メディカル事業グループ内移管
  • 三菱エンジニアリングプラスチックス・・・林副社長が社長昇格
  • 日鉄ケミカル&マテリアルの新社長に右田彰雄氏

日鉄ケミカル&マテリアルの新社長に右田彰雄・日本製鉄代表取締役副社長の就任が内定した。4月1日付で日鉄ケミカル&マテリアルの顧問に就任した後、6月26日開催予定の定時株主総会、取締役会で正式決定する。榮敏治社長は取締役相談役に就く。
右田彰雄(みぎた・あきお)氏 84年東京大学法学部卒、新日本製鉄(当時)入社。14年新日鐵住金(同)執行役員、17年常務執行役員、19年日本製鉄代表取締役副社長。福岡県身、61歳。

ペガサス ・テック・ベンチャー ズ アニス・ウッザマ ンCEOに聞く

ベンチャーと橋渡し 見守り育成も リスク拒まず積極投資を

産業界でグローバルにベンチャーと連携する企業が増えるなか、コーポレートベンチャーキャピタル( C VC)を活用したファンドが存在感を強めている。化学業界ではデンカが1月に130億円規模のCVCファンドを設立した。パートナーとなった米ペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマンCEOにベンチャー連携の重要性や化学業界への期待を聞いた。
―ペガサスを創立するまでの流れをお聞かせ下さい。
私は日本の大学を卒業した後、日本アイ・ビー・エムで戦略投資や大企業のイノベーションなどの業務にかかわった。ペガサス・インターナショナルを設立したのは11年前だ。
これまで大企業の多くはイノベーションを起こすために自社R&D部門に開発を任せてきた。産学連携で大学とパートナーシップを組むケースもある。産業界はスピード感が求められ、18カ月サイクルで商品が入れ替わる時代。大企業のイノベーションは自前主義や産学連携だけでは実現が困難になっている。新しいアイデアを持つベンチャーと組む方がスピーディーであり、ペガサスは事業会社と国内外のスタートアップをつなげる橋渡しを行っている。

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