石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

三菱ケミカルグループ・・・医療関連事業を拡充

抗血栓性の新素材開発

物流管理システム展開も開始
三菱ケミカルグループは、成長分野の医療関連事業を拡充する。医療用コンパウンド「ゼラス」シリーズでは医療用チューブなどの材料として、血栓ができにくい抗血栓性の新グレード「ゼラスAMP」を開発。熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「カイロンウルトラ」は医療分野の用途開拓に本腰を入れる。物流子会社の三菱ケミカル物流は新規事業として、医薬品や医療機器の物流管理システムの展開に乗り出した。

この人に聞く 2023化学品動向 PAN系炭素繊維

東レ取締役専務執行役員 複合材料事業本部長 吉永 稔氏

航空機向け本格回復へ
新規用途空飛ぶクルマなど期待
―22年の市場を振り返ってください。
PAN系炭素繊維の世界需要は、21年の11万㌧強から12万〜13万㌧に増えたようだ。引き続きカーボンニュートラルの流れを受け、風力発電の風車翼、天然ガスや水素向けの圧力容器といった産業用の需要が好調だった。ただ、新型コロナウイルス影響で航空機向け需要は依然として低迷した。コロナ禍で伸びていた自転車フレーム、ゴルフシャフト、釣り竿といったスポーツ用途の需要は22年後半に一巡し、汎用品を中心に低下した。
供給能力も増えた。韓国や中国の新興メーカーが設備を増設し、世界の総生産能力は需要を2〜3割上回る状況となった。しかし、需給バランスはタイトな状況が続いた。高い信頼性が求められる構造材料に新興メーカーの炭素繊維が浸透するには時間がかかる。
コストアップは大きかった。原料アクリロニトリル価格も高止まりし、ロシアのウクライナ侵攻を受けて欧州で天然ガスなどの用役費が大きく上昇、世界的なインフレにより労務費、物流費なども高騰した。こうした状況を顧客に説明し、コストアップを製品価格に転嫁した。

  • トクヤマ・・・火力発電、バイオマス混焼を拡大 今期、DXにも重点投資
  • 横河電機・・・制御受注が好調維持
奈良寿社長

奈良寿社長

奈良社長「中計達成視野に」
横河電機の奈良寿社長は経営説明会で21〜23年度の中期経営計画「アクセラレート・グロウス(AG)2023」の進捗について「目標達成が視野に入ってきた」と強調し、最終の23年度についても「スピード感を持って四つの基本戦略を実行する」と意欲を示した。
同社は22年度に前年度比23・3%増、為替影響除き12・6%増となる5184億円の受注高を計上した。世界的な景気後退で大口案件に一巡感は出ているが、日本は138億円増の1340億円を計上。23年度受注は4900億円に減速するが、売り上げと収益の成長を維持するための各種施策を実行する。

  • 信越ポリマー・・・新中計、成長領域に重点投資 新規需要取り込み
  • JSR・・・半導体材料、来期回復へ構造改革 先端材料へ先行投資
  • 信越ポリマー・・・シリコーン断熱材 EV電池向け拡販
  • 日本化学会・・・京大の丸岡教授 次期会長に内定

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クレハ・・・環境負荷低減

8年で100億円投資

COや廃棄物対策
クレハは、23~30年度の8年間を対象とした中長期経営計画で環境負荷低減投資に100億円を充てる予定だ。CO排出削減や廃棄物低減対策を進める。

  • 旭化成・・・多角経営が力発揮 23 年度 3領域で増収増益へ
  • クラレ・・・活性炭、産業用や特殊分野拡大 飲料水用含め成長牽引
  • 日本ポリエチレン・・・鹿島と水島で取得計画 ISCC PLUS認証 
  • 大塚テクノ・・・微細藻類 培養装置 樹脂バッグ式開発 低コストで高機能
  • TOYO TIRE・・・CO2からブタジエン 富山大と共同開発
  • トクヤマ・・・23 年度倍増益見込む 化成品・電子先端材が貢献
  • 帝人フロンティア・・・フェムテックブラ ンド展開スタート
  • 東レ・・・リサイクル繊維の ブランドを再構築。 肺炎治療機器開発、政投銀から支援

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  • 中国の風力発電市場・・・国産化進展 供給網全体 欧米系、撤退加速
  • 基本液状エポキシ樹脂(LEK)・・・輸入品が攻勢 韓国や台湾企業中心に
  • 環境省・・・PETボトル、新機能回収ボックス 異物混入低減に効果
  • デンカ・・・再生エネ電力増強 水力と太陽光30年度15万㌔㍗に
  • 帝人フロンティア・・・RFIDで物品管理 スマートセンシング 30年度50億円事業に
  • アズビル・・・流量計や発信機 タイに来春新工場
  • エレファンテック・・・第三者割当で9億円を増資
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・3月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本化学繊維協会・・・3月の合成繊維生産・在庫量
  • カーボンブラック協会・・・3月のカーボンブラック実績
  • 日本プラスチック工業連盟・・・2月のプラスチック原材料の在庫月数
  • 化学製品値上げ
    ・日本触媒・・・水溶性ポリマーなど
    ・三井化学・・・PUを20円以上
    ・カヤク・ジャパン・・・産業用火薬10~30%

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  • 日本化薬・・・高周波基板用、低Df樹脂開発加速 品揃え拡充し拡大
  • 出光興産・・・基礎化学 高機能材 今期増益を予想 機能化学品持ち越し
  • ダイセルと熊本大学・・・価値共創へ連携 ワンタイムエナジー活用

小河義美社長(右)と小川久雄学長

ダイセルは熊本大学と包括的連携協定を締結した。熊本大とは昨年10月に産業ナノマテリアル研究所と「ワンタイムエナジー共同研究講座」を開設しており、これを基盤にダイセルのワンタイムエナジー技術と同大学の知識、技術などを融合し新たな価値を共創して社会実装につながる研究、人材育成、地域連携などに向けて協力する。ダイセルが創業から培った独自の素材や技術を駆使し健康(ヘルスケア)、安全・安心、便利・快適、環境の4事業領域で地域社会の発展に貢献する。ワンタイムエナジーはダイセルが推進する「ただ一度だけ、瞬時に、確実に、安全に動力を生み出すことができる技術」。火工品技術を応用したもので、自動車エアバッグ用インフレーターなどで社会実装されている。

  • 新 話題とその人 CSRの深化に取り組む トクヤマ 執行役員CSR推進本部長 関 道子氏

ありたい姿 適切に 情報開示は国際基準で
「CSRとは会社のありたい姿やその実現に向けた考え方と施策を適切に発信し、社会や幅広いステークホルダーから理解と信頼を得る活動で、いわば会社の一番の拠り所。当社は現行の中期経営計画2025の重点課題の一つにCSR経営の推進を掲げ、10項目のマテリアリティのブラッシュアップに取り組んでいる。4月からは全執行役員がいずれかのマテリアリティに関与し、その進捗を報酬に反映するという責任の明確化を図った」
関さんはCSRのプロ人材として昨年7月に入社、今年4月からはトクヤマ初の女性執行役員として全社的なCSR活動をリードしている。前職の大手光学機器メーカーではCSR推進部長の職を定年まで勤め上げた。ここで培った経験とノウハウをトクヤマのCSRに生かし、さらなる深化を図る。

  • 三菱ガス化学・・・半導体パッケージ材 タイで生産能力倍増
  • エフピコ・・・病院介護食向け拡販 冷食容器を提案
  • 信越化学工業・斉藤恭彦社長・・・北米塩ビ春需を期待
  • ダイセル・・・今期設備投資7割増 エンプラは2倍
  • JSR・・・エリック・ジ ョンソンCEOが社長を兼務
  • エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル・・・工藤氏が社長昇格

エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル(AWPC)の社長に6月1日付で工藤公敏執行役員機能材料事業部長が昇格する。堀靖社長は退任する。
工藤公敏(くどう・きみとし)氏 88年大分大学経済学部卒、川崎化成工業(現AWPC)入社。19年取締役、21年から現職。大分県出身、57歳。

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