石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

化学大手 積極投資が回収期に

高機能製品 収益改善を下支え

世界規模での景気鈍化による需要低迷に喘ぐ化学業界にあって、過去の好況時に意思決定した積極投資案件が23〜25年にかけて相次いで立ち上がり、回収期を迎える。その多くは汎用的な製品ではなく、各社固有の強みを生かした高機能高付加価値製品群である。下期以降の需要回復の期待と合わせて、新たな戦力として収益改善を下支えすることになりそうだ。
主要化学各社は今後の化学製品の需要見通しについて「23年度下期には回復する」との見解で一致する。果たしてそこに根拠はあるのか。

  • デンカ・・・窒化ケイ素基板、大牟田で相次ぎ増強 EV放熱材向け好調
  • APICインド大会、ポストコロナへ団結 4年ぶり 世界の関係者が参集

4年ぶりの再開を楽しむ参加者。アジアの石化需給状況の真の姿が共有されたようだ

アジア最大の石油化学工業の国際会議「APIC2023」が18〜19日の2日間、インド・ニューデリー市のプルマン・ニューデリー・エアロシティーホテルで開催された。インドでのAPIC開催は10年に次ぐ2回目。ただ、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により20年から開催を延期していた。
前回19年の台湾大会から4年ぶりとなる今回のインド大会には、世界各国から石化業界関係者が一堂に会した。日本からも石油化学工業協会(JPCA)の岩田圭一会長(住友化学社長)以下、JPCA首脳や会員企業のメンバー、石化誘導品企業、商社など多数が参加した。会場以外の場所でも4年ぶりとなる国際会議の場での再会に関係者同士が和やかに談笑する様子が多くみられた。ポストコロナの新たな時代にアジアの石化業界が一体となってより高いレベルでサステナブルな発展を目指す姿勢が示された。

  • デンカ・・・アセチレン、新製法実証設備建設へ 青海で年度内に決定
  • SAP3社・・・需要回復も収益に差 数量カバーがカギに
  • ダイセル・・・CO新設備稼働 12 月まで延期に
  • 日本化薬・・・23年度、5割増の 366 億円投資 エポキシ、IJなど

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  • 日立ハイテク・・・でんぷん配合PP開発 日用品向けなど提案
  • 経団連・・・政府に労働安全提言 DX時代 睨み 三井化学など例に
  • 石油精製3社・・・高機能材製品強化へ 石化部門と連携・再構築
  • 三洋化成工業・・・25年度営業益150億円に 新3ヵ年中計 テーマは「具体化」
  • 東ソー・・・複合プラ相溶化剤、花王の容器再生に採用
  • ダイセル・・・セラミド、食品配合例が拡大 機能性表示食品へも

ダイセルは、健康食品素材として販売するこんにゃく由来グルコシルセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)で一般食品への配合拡大に取り組んでおり、その一つである国分グループ本社(東京都中央区)の「韓にゃくめん・ビビン冷麺風」=写真=が機能性表示食品に受理された。
受理された食品はこんにゃくめんとたれを混ぜて食べる加工食品であり、こんにゃく由来グルコシルセラミド(1・6㍉㌘)が麺の関与成分に採用された。こんにゃく由来グルコシルセラミドは肌のバリア機能(保湿力)を高める効果があるとされ、日本人を対象とする複数の試験では1日0・6〜1・2㍉㌘を4〜12週間続けて摂取することで全身の肌の経皮水分蒸散量が低下(皮膚バリア機能が改善)すると報告されている。

  • 旭化成・・・海洋浮遊マイクロ プラ除去に可能性 九州大学との共同研究と実地試験で
  • 三菱ケミカルグループ・・・バイオエンプラのバイオマス度向上
  • ユニチカ・・・ノンハロ系難燃性付与材を市場投入

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  • XPS・・・断熱性高め採用促進、省エネ義務化追い風に
  • クレハ・・・シェール掘削材、安定的に利益創出 今期黒字化メド
  • 総合化学5社の石化系部門業績の2022年度実績と23年度予想・・・石化部門の収益改善 今期 需要増、値差拡大期待
  • UBE・・・今期、PAなど好転 化学事業の収益改善
  • JNC・・・ライフケミカルや シリコン製品拡販
  • 三井化学・・・技術情報や材料探索 生成AIで効率的に
  • クレハ・・・PVDF増設へ 補助金認定取得 いわき事業所に適用
  • DIC・・・再エネ電力、国内32拠点に CO排出38%減へ
  • 出光興産・・・バイオS―SBR 錦湖石化と生産、年内
  • 出光興産・・・バイオSM海上輸送 カーボンオフセット
  • ランクセス・・・ポリオールとPOP持続可能製品を拡充
  • 発泡スチレンシート工業会・・・2023年4月のPSP出荷実績
  • 日本ABS樹脂工業会・・・ABS樹脂の4月国内出荷は前年同月比4%増
  • 化学製品値上げ
    ・住友ベークライト・・・熱可塑性樹脂
    ・日本触媒・・・有機酸類6月から

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日本化薬・・・触媒事業、次期売上高100億円超に

開発設備を有効活用

日本化薬は触媒事業の収益安定化に向けて開発設備を増強し、顧客層の拡大に拍車をかける。事業売上高100億円以上の安定確保を当面の目標としており、客先で触媒交換の端境期となる23年度は未達となる見通しだが、24、25年度は顧客層の広がりなどで目標をクリアできる見通し。26年度以降も新規分野の触媒開発や開発品の採用促進などに取り組み、年間100億円以上を安定確保できる体制を目指す。

  • 東洋紡・・・今期営業益1.5倍に 竹内社長「稼ぐ力取り戻す」
  • ダイセル・・・中期戦略刷新 26年度にROIC10% 売上高30年度1兆円に 25年度に在庫 400億円削減
  • ユニチカ・・・新中計、25年度に営業益70億円
  • 帝人・・・課題3事業、収益改善 今期から成果発現
  • デンカ・・・経営資源、3つ星事業に集中 選別進め構造改革
  • 三菱ケミカルグループ・・・LIB電解液、北米で供給網強化 フッ素会社と協業
  • 積水化学工業・・・滋賀でポリビニルアセタールを増設
  • 藤森工業・・・光学用アクリル粘着剤 バイオマス認定

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