石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

三井化学・・・ハイドロキノン増産検討

HDPE製造用触媒も

三井化学は、岩国大竹工場(山口県和木町)でハイドロキノンの生産能力を増強する検討に入った。ポリマーの重合抑制剤向けなどの世界的な需要増に対応する。同工場では高密度ポリエチレン(HDPE)を中心とするポリオレフィン製造用触媒の設備増強も検討する。いずれも26年度以降の完成を目指し、詳細を詰める。これら高付加価値製品の増産と拡販で、ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業の収益の底上げにつなげる。

新社長インタビュー 本州化学工業 木下雅幸氏

難題に挑戦する風土を 長期ビジョン中計ステップに達成

木下雅幸氏

「当社は研究開発を軸とするファインケミカルに特化した会社。対象とする市場が急速に変化するなか、スピード感をもって事業に取り組み、変化を能動的に捉えて挑戦していく。その上で、一定以上の収益を確保しながら研究開発の成果などを踏まえて再投資を続け、持続的な成長を実現していきたい。そして、従業員から『勤務して良かった』と感じてもらえる会社にしていく」
木下社長が4月に就任した。主要株主である三井化学の出身で、過去には本州化学を主要顧客の一つとして関係強化した時期もあるという。本州化学は機能材料部門として電子材料(フォトレジスト原料)や光学用ポリカーボネート原料の特殊ビスフェノールを、化学品部門としてビフェノール(スーパーエンプラ原料)やトリメチルフェノール(TMP)、クレゾール誘導品を、工業材料部門として自動車用特殊ビスフェノールや受託製品を中核事業とする。30年に向けた長期ビジョン「HCI500」で売上高500億円、営業利益75億円を目指し、20年度から中期経営計画を推進してきた。中計最終年(23年度)の目標値は売上高300億円、営業利益42億円。

  • 大阪ソーダ・・・医薬精製材、尼崎で26年メドに増設 原薬・中間体は福井で
  • デンカ・・・FCCL向け LCPフィルム評価進み来年にも量産
  • 三菱ケミカルグループ・・・エポキシ樹脂、環境対応品に注力 バイオ原料やCRも
  • 旭化成・・・バイオPOM原料 24年発売へ 三井物産から調達
  • 日本バイオプラスチック協会(JBPA)・・・海洋生分解性プラ7月から表示制度

本バイオプラスチック協会(JBPA)は、海洋での生分解性と安全性が確認されたプラスチック製品を認証する「海洋生分解プラ識別表示制度」を制定し、7月から認証申請の受け付けを開始する。また、海洋生分解性プラ製品の中でバイオマス由来成分を25%以上含む製品を「海洋生分解性バイオマスプラ」と称し認証する。同制度の認証プラ製品に表示されるマークは、「海洋生分解性プラマーク」=写真=または「海洋生分解性バイオマスプラマーク」の2種類。
海洋プラスチックごみ問題の解決策の一つとして海洋で生分解するプラスチックが注目されるなか、製品メーカーは同制度の認証プラ製品にマークを付け、環境配慮をアピールできる。第三者機関による海洋生分解プラ識別表示制度は欧州にあるが日本では初めて。同制度では許可された物質以外は使えない「ポジティブリスト制」を採用。プラスチックと添加剤をあらかじめ登録しておくことにより、製品メーカーは製品構成と特定元素の含有量のデータを提出すればよく、認証のための試験コストと手間が省け、迅速に認証を取得できる。

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三井化学インディア・・・3分野の育成に力

コーティング材など拡大

川口潤社長

三井化学のインド現地法人、三井化学インディアは30年に向けて、太陽光発電(PV)パネル診断事業、環境に配慮した食品包材向けコーティング材、食糧増産に寄与するアグロ製品の3分野の事業育成に注力する。「コーティング材は環境対応で安定的に伸ばし、アグロ関係も食糧問題に取り組むことで30年までに大きく伸ばしたい」(川口潤社長)考えだ。事業強化と並行して組織基盤を整備し、現地生産化や技術サービスを拡充するとともに、新事業開拓を目指す。

  • クラレトレーディング・・・SPS繊維を年内投入 26年200㌧販売へ
  • DIC・・・軟包装フィルム、脱インキ化し再生 2社が資材に採用
  • DIC・・・カナダ社の全株取得 半導体レジスト樹脂 30年売上高150億円
  • ダイセル・オルネクス・・・基材密着向け拡大 UV硬化樹脂 時短・省エネ訴求
  • カネカ・・・豊岡で地域電力網サービス事業開始
半導体用多結晶シリコンで   マレーシア再進出目指すトクヤマ

インフラと人材で優位 リスク分散 投資圧縮 25年中にスタート

横田浩社長

「ポイントは需給環境、クリーンエネルギーの安定確保、設備の安定操業、コスト競争力の4点。かつて当社が整備したインフラや付帯設備が活用でき、運転員の技術習熟度も高い。水力発電がエネルギーの起点という優位性も高い。後はコスト競争力を発揮するよう、建設コストは徹底して圧縮したい」。
トクヤマの横田浩社長は、経営説明会で、マレーシアへの再進出で検討を開始した半導体用多結晶シリコンプロジェクトについてこう語り、計画の実現に自信と意欲を示した。韓国OCIと年産1万㌧規模の半製品を製造する折半合弁会社を設立。半製品は両社で引き取り、それぞれが固有の技術で製品化し販売する。トクヤマは徳山製造所に半製品を持ち帰り、ハイエンドな半導体シリコンウエハー材料として品質保証まで仕上げ、グローバルに供給する構え。今後、後工程の増産体制確立を視野に入れる。

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  • 三井化学・・・AC法IPA増強 デボトルネック 大阪で年内に2割
  • 基本液状エポキシ・・・増設年100万㌧超に  遠のく需給改善
  • 日本芳香族工業会・・・新会長に津﨑昌夫・JFEケミカル取締役常務執行役員
  • 日本バイオプラスチック協会・・・新会長に小山俊也・帝人取締役ミッション・エグゼクティブ
  • IPAアジア市況・・・足元安定も先安懸念
  • 高圧ガス保安協会・・・事故4件の映像 最新視覚資料に
  • ベンゼン6月ACP・・・865㌦に下落
  • 米国エネルギー情報局(EIA)・・・米国のエタン輸出今年4%増を予測
  • 米国エネルギー情報局(EIA)・・・米プロパン輸出3月に最高更新
  • 東レ・・・LCPを80円上げ 21日から
  • 塩ビ工業・環境協会・・・4月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本スチレン工業会・・・2023年4月受払表
  • 日本ポリプロピレンフィルム工業会・・・4月のOPP・CPP出荷実績
  • 日本プラスチック板協会・・・4月の硬質塩化ビニル平板生産出荷実績、4月のポリカーボネート平板・波板生産出荷実績、4月の硬質塩化ビニル波板生産出荷実績
  • 日本化学繊維協会・・・4月の合成繊維生産・在庫量
  • カーボンブラック協会・・・4月のカーボンブラック実績

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三菱ケミカルグループ・・・電材用エポキシ拡大

開発強化、新製品を広範に

三菱ケミカルグループは電子材料用エポキシ樹脂の拡大を加速させる。ビフェニル系の「YX4000シリーズ」を柱に既存の民生用途を拡大、パワー半導体周辺へは高耐熱、低塩素の新製品を提案し、高周波基板用は誘電正接(Df)の低減を追求する。水添エポキシや可撓性エポキシの市場拡大にも拍車をかける。半導体市場の拡大が見込まれるなか4月には新系列が完成、生産能力を3割増強した。次期増強も検討中。製品開発を強化して市場を広げ、拡大する需要を幅広く取り込む。

  • 日本ゼオン・・・4ヵ年中計、COP・電池材に力 エラストマー構造改革
  • 日本ゼオン・・・アンモニア発電で米新興企業に投資
  • 三井化学・・・30年度目標達成へ 成長3分野を活性化
  • 東ソー・・・バイオマス燃料自製へ実証実験 インドネシアで
  • カネカ・・・3ヵ年中計、ポートフォリオ変革加速 投資計画 ライフサイエンスに5割

田中稔社長

カネカが23~25年度の中期経営計画を始動した。田中稔社長は「コア事業群は製品開発、プロセス革新などによる事業基盤の強靭化でキャッシュを稼ぐ力を着実に強化する一方で、先端・大型新規事業群はヒト、モノ、カネの戦略的資源投入により飛躍的な成長を実現する」と述べ、事業ポートフォリオ変革を加速させる考えを改めて示した。
営業利益は25年度に650億円(22年度351億円)、早期に1千億円を達成し、営業利益に占める先端・大型新規事業群の比率を25年度に55%(同49%)、早期に60%超へ高める目標を掲げた。中でも「地球生命を健康にするテクノロジー」を「ライフサイエンス領域」と定義し、同領域の営業利益を25年度に22年度比2倍、早期に3倍へと大きく高める。

  • DIC・・・バイオ由来品拡大へ 米デビュー社に出資
  • 丸紅と加ペンピナ・・・低炭素アンモニア供給へ事業化調査
  • INPEX・・・次世代リチウム電池米テラワットに出資
  • 旭有機材・・・樹脂配管材の新工場 米ルイジアナで稼働

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