石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

三菱ケミカルグループ・・・EV向け電磁波吸収シート開発

半導体用負膨張フィラーも

三菱ケミカルグループはエレクトロニクス関連材料のラインアップを拡充する。電気自動車(EV)でニーズが高まる電磁波吸収シートを開発した。他社従来品に比べ大幅に軽い利点を訴求し、製品化と拡販を図る。このほか半導体封止材の熱膨張を抑える充填剤の「負膨張フィラー」も開発した。ニーズに合った材料の拡充で事業拡大を加速させる。

旭化成工藤幸四郎社長に聞く <上>

3領域で「旭化成らしさ」具現化

30年近傍 それぞれで利益1500億円前後
次期中計 住宅とヘルスケアが牽引
大胆・迅速に変革 ワンマテリアルで
旭化成の業績改善が著しい。創業100周年と工藤幸四郎社長による新体制を発足させた22年度に始動した現行の中期経営計画は、初年度に20年振りとなる当期純損失を計上し、スタートダッシュに失敗。しかしその後は着実に収益を伸ばし、なおかつ構造改善と成長戦略の施策を矢継ぎ早に打ち出している。25年度からの次期中計や30年に向けた展望を工藤社長に聞いた。   ◇   ◇ ―現行の22~24年度中計を総括してください。
旭化成の過去最高益は18年の2096億円で、21年度も2026億円だった。ここを発射台に現行中計では当初、24年度に営業利益2700億円という野心的で挑戦的な目標を掲げた。しかし、コロナ下にあって世界規模でのインフレや中国での石化大増設など、色々な環境変化に見舞われた。当社でも民生向けで好調だったLIB用セパレーターで車載分野へのマーケティングで後手を踏んだ。アジャイルな経営が出来ていなかったとの反省に立ち、25年度からの次期中計をどう進めていくかを考えているといころだ。
 ―22年度の営業利益は1277億円。ここを底に23年度は1407億円、24年度見込みは1950億円と順調に業績は回復しています。

  • 石油化学工業協会・・・12月の石化製品生産実績
  • 信越ポリマー・・・塩ビ系TPEの事業拡大 タイ子会社軸にアジア展開
  • 石油化学工業協会の工藤幸四郎会長・・・経済安保と市場形成 供給網全体で対話
  • ダウ・・・環境対応や快適化支援 車座席用 材料技術で解決策

<特集>化学の〝ちから〟でサステナブル 社会に貢献/主要化学企業の環境対応製品・技術(2~3面)

多くの化学企業が「化学のちからで持続可能な社会に貢献する」ことを企業理念に掲げる。これを具現化する製品・技術は各社の戦略事業であり、需要成長を続けている。GHGの排出量削減でカーボンニュートラルを後押しし、プラスチックリサイクルなどサーキュラーエコノミーの実現で中核を担い、豊かで健康的な暮らしや産業発展に貢献している。成長事業であるだけに積極的な投資行動が見られる。また、いずれも各社固有の技術やノウハウが詰め込まれた戦略製品であるため、それぞれの市場で高いシェアを獲得しているのも特徴だ。主要化学企業の環境対応製品・技術の現状と今後に迫る。

住友化学

  • 炭素資源循環モデル 事業化加速し実装へ
  • 専用サイトでブランド訴求

デンカ

  • バイオスティミュラント 高収穫農業支える
  • グローバル展開を本格化

三井化学

  • XDI、モノマテ包材向け拡販
  • PUDと併せ欧米市場開拓

三菱ケミカルグループ

  • 化学品グリーン化推進
  • 茨城 廃プラCR設備稼働へ

クラレ

  • 活性炭 飲料水浄化向け拡販
  • 米のPFAS規制が追い風

帝人

  • PC、再生原料使用品を拡充
  • 車向け欧州ELV指令対応

東ソー

  • OER触媒、水電解装置向け開発
  • 希少金属使用を大幅削減

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ダイセル・・・酢酸セルロース 拡販へ競争力強化

製法転換 3工場を仮想一元化

ダイセルは酢酸セルロース関連事業の競争力強化に向け、26年度中に主要生産拠点の網干工場(兵庫県)内にバーチャルバリューチェーンの試行を目的とした新施設(VVCC)を設置し、大竹工場(広島県)と富山を含むアセチルチェーン3拠点の生産機能を一体運営する。25年度中には、酢酸セルロースで進めてきた製法転換も完了する見通しだ。これらを通じ大幅なコスト低減が可能になり、生分解性などへの評価から引き合いが活発化する酢酸セルロースの市場拡大に弾みをつける。

  • UBE・・・PCD、米国生産具体化へ 買収拠点も候補に
  • MDI・・・中国ポリメリック高止まり
  • 東レ・・・EV部材用超高制振ナイロン樹脂を開発 26年度本格販売
  • 東洋紡・・・モノマテ包材向け高耐熱OPP開発 接着しやすく
  • 石油化学工業協会・・・12月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 塩ビ工業・環境協会・・・12月のPVC、VCMの生産・出荷
  • 日本繊維産業連盟・・・繊産連の日覺会長「人材確保に注力」
  • 化学製品値上げ
    ・東ソー・・・ポリ塩化アルミニウムを21日出荷分から値上げする。上げ幅はローリー納入品が1㌔㌘12円以上、キューブインボックス品が15円以上
    ・東亞合成・・・塩酸を2月1日から工場出荷で1㌔㌘9円、ストックポイント出荷で15円、荷姿ポリ缶で20円値上げする
    ・積水化学工業・・・内装用硬質発泡ボードを3月3日出荷分から20%以上値上げする

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