石油化学新聞

THE PETROCHEMICAL PRESS

トクヤマデンタル・・・歯科器材、国内外で販売好調

増員せずに生産倍増

トクヤマの100%子会社のトクヤマデンタルは鹿島工場での歯科医療用器材の供給拡大に全力を注ぐ。昨年、製造第8棟を新設したが、当初想定以上にグローバルベースでの販売が好調に推移。「人を増やさず生産性を2倍に」をコンセプトに、旧系列からの設備移設や大型混錬機の導入、包装・出荷システムの自動化など投資を継続する。

包装・梱包の自動化を強化する

鹿島工場の第8棟は24年3月に完工、10月に竣工し順次生産を開始している。主力製品のコンポジットレジン(CR=虫歯修復用詰め物)の製造を担う鹿島工場で最大規模のプラントで、同工場では初となる混錬補助ロボットを一台導入している。また、CRを充填したシリンジや包装材など仕掛品の保管と包装・出荷工程への供給を担う自動倉庫や、ラベリングや箱詰めなどを行う自動包装ラインなど、随所にデジタルシステムを導入している。

新社長インタビュー 三菱ガス化学 伊佐早禎則氏

研究開発型企業に転換
事業の新陳代謝さらに促進

「当社はオーガニックな成長を続けてきたが、周りの環境がすごく早く変化しているので、これまでのやり方だけでは足りなくなっている。研究サイドは(全体を)横串にみることができ、新しい分野もみているので、連携を強化すると新しい成長の軸がみえてくる。これで成長のスピードを上げたい」
こう抱負を語るのは三菱ガス化学の社長に4月1日付で就任する伊佐早禎則さん。71年の同社発足以来初めての研究開発業務出身の社長であり、研究開発型企業への転換を促す。 「今後も(不採算事業などの)リサイズはあるものの、新しい事業を入れ込んで事業の新陳代謝、ポートフォリオの強靱化を促進し、持続的な成長につなげる」考えだ。 同社は20年4月、これまで事業部門の管轄だった東京、新潟、平塚の3研究所を全社の研究開発組織の傘下に結集。以来、全社最適の視点から研究開発テーマを調査し、戦略的にリソース配分を決定している。21年4月の研究開発組織改編に伴い発足した研究統括部が羅針盤となってドライブをかけている。24年度から3年間の中期経営計画の期間は「これまで仕込んできたネタが芽吹き、花が咲き実になるステージになる」と期待する。

  • 三菱ケミカルグループ・・・金属・樹脂複合材、EV用バスバーに提案 薄く大電流化可能
  • リケンテクノス・・・新中計、27年度営業益120億円に 東南アジアと国内で成長投資
  • 東レ・・・長繊維不織布、オレフィン系発売 資材向け26年10億円に

<特集>存在感増す化学 企業の電子・情 報材料〈下〉 (2~3面)

エレクトロニクス分野は化学産業にとって重要な市場領域の一つだ。化学企業の多くは同分野を保有する材料や技術力、知見を生かせる領域に位置づけ、最終製品の高機能化・多様化や普及促進に寄与する電子・情報材料を継続的に開発しており、各社の存在感は増している。デジタル化やAI活用の促進、通信の高速化、自動車の電動化などを背景に高い市場成長が見込まれるなか、電子・情報材料事業の拡大に取り組む各社の戦略を追った。

東亞合成

  • 防湿絶縁コート剤、UV硬化型を拡販
  • 車載市場で高評価 海外市場も拡充

JNC

  • 情報材料 3製品の成長加速へ
  • 印刷技術 半導体工程に参入

三菱ケミカルグループ

  • 半導体材料、能力増強3計画を決定
  • LIB負極材で大型投資

DIC

  • ケミトロニクス事業、技術集約し成長加速
  • 営業利益 26年度に100億円超を

日本触媒

  • 光学用樹脂成型材料、車載電材に採用開始
  • レジスト樹脂、低温硬化で新価値

東ソー

  • Ganターゲット材、パワー半導体に展開
  • シリコン添加品なども開発

KHネオケム

  • 高純度溶剤、PMAとPM軸に拡販
  • 黒金化成 開発型受託体制拡充

三菱ガス化学

  • 光学樹脂ポリマー 非スマホへ用途多様化
  • 眼鏡レンズモノマー増産

THE PETROCHEMICAL PRESS

  • デュポン・スタイロ・・・XPS、省エネ住宅向け拡大 性能と情報で顧客支援
  • 東レ・・・ナノ積層フィルム、車HUD向け販売 表示情報を鮮明化
  • クラレ・・・PA9T、車向け採用本格化 国内外で評価浸透
  • 三菱ガス化学・・・循環型メタノール生産実証設備26年度稼働
  • UBEと大日本印刷・・・共同出資社名変更 DNP科学分析センターに 半導体や環境に力
  • PVC4月アジア輸出価格・・・インド向け 30㌦安
  • 三菱ガス化学・・・来年秋から長期用船 メタノール燃料船内航やバンカーに
  • リケンテクノス・・・塩ビコンパウンド 米国で増設完了
  • 三菱ガス化学・・・グリーンアンモニア、インドPJに出資検討
  • 三菱ケミカルグループ・・・NVF製造技術仏SNFに供与
  • 石油化学工業協会・・・名物職員が退職
    命救い生活潤す化学 日本業界躍進へエール

石油化学工業協会総務部(広報担当)専門職員

「定例記者会見で石油化学業界トップとメディアの討議の場を橋渡しできたことは大変光栄で、サラリーマン人生の誉れ。これからは変革期にある石化産業がさらに付加価値を高めて魅力的に進化する様子をワクワクしながら見守っていきたい」
石化協の名物職員と言われた百瀬千尋さんが43年間過ごした協会を去った。企画担当18年、広報担当25年のキャリアは石油化学を通じて多くの人々と接してきた歴史でもある。「モモちゃん」の愛称で親しまれ、人脈は業界OBから経営トップ、中堅、若手に至る。
日本国内すべてのナフサクラッカーを見分し、アジア最大の国際会議「APIC」は主要7カ国地域の全大会に参加した。04年のマレーシア大会、夕日に映えるヤシ並木と夜空にそびえるツインタワーを見上げ「アジアに来たんだ」と感嘆した。
石化協が毎年発行する冊子「石油化学工業の現状」では長く編集長を務めた。記者にとってバイブルであり、今も手に取る参考書。「事実のみを編集することに徹した」と数字にうるさく、データや統計の重要性を常に説いてきた。「常に変化する複雑怪奇な化学産業の面白さを理解し、化学のファンになってほしい。だからこそ業界の歴史や統計、誘導品やその特長など基礎的知識を身に着けて取材に臨んでほしい」。この思いが20年以上続いた新人記者向け「百瀬塾」に結実し、退職の前日も開講された。各社の広報担当者とも業界のPRに奔走してきた。「もっと情報を売り込んで記者に書かせる。私くらい図々しくても良いのでは」と最後の助言だ。
化学産業を取り巻く環境はかつてないほど厳しいが、今後をどう占うか。「これまでも浮沈はあったが、最新鋭の技術で世界に誇る素材を開発、生産。あまたの人々の命を救い、生活に潤いを与えてきた。石化業界が新しいフェーズを迎え、一層活躍することを確信している。日本の石化はしぶといよ」とエールを送る。

  • 日本化学工業協会・岩田圭一会長・・・「高付加価値化で国際競争力向上」
  • 日本化学工業協会・・・「化学品リサイクル率確認制度」の試験運用に賛同する会員企業が昨年9月時点の4社から33社に拡大したと報告
  • 三菱ケミカルとアクリルグッズメーカー7社・・・アクリルグッズ回収4月17日に神田明神

    17日にコラボ発表会を開催。リサイクルアクリル樹脂で製作したアニメキャラの等身大アクリルスタンドを披露した

    三菱ケミカルとアクリルグッズメーカー7社が参画するアクリルグッズ等再生利用促進協議会は4月17日、東京・神田明神で来場者から不要となったアクリルグッズを回収するイベント「アクリル感謝祭」を開く。若い世代へのアクリルグッズのリサイクル意識浸透が目的で、23年から3年連続の開催となる。
    来場者が持ち込むアクリルグッズを回収ボックスに収め、回収されるアクリルグッズは三菱ケミカルが大阪市に持つマイクロ波技術ケミカルリサイクル実証設備でモノマーに再生する。感謝祭は5月中旬に開かれる神田明神の神田祭の関連イベントとして行われる。今年の神田祭は人気テレビアニメ「薬屋のひとりごと」とのコラボレーションで実施し、リサイクルアクリル樹脂で制作した同アニメのアクリルグッズも販売する。

  • 三菱ケミカル、三菱ガス化学、JFEスチールの3社・・・製鉄副生ガスからプロピレン生産 実証実験に関する覚書締結
  • 石油化学工業協会・・・2月の汎用4樹脂の出荷実績
  • 三愛理研・・・潮来工業団地に化学品工場新設
  • 積水化成品工業・・・欧州の車部品事業8社を譲渡・清算
  • ENEOS・・・横浜の潤滑・燃料油生産を段階的に停止
  • JSR・・・堀副社長が社長昇格
    JSRの社長に堀哲朗副社長が4月1日付で就任する。エリック・ジョンソン社長は退任し、6月開催予定の定時株主総会で取締役も退く。
    堀哲朗(ほり・てつろう)氏 85年一橋大学商学部卒、東京エレクトロン入社。13年取締役、16年代表取締役、22年シニアアドバイザー、24年エグゼクティブアドバイザー、25年1月JSR副社長。東京都出身、63歳。

 

  • ポリプラ・エボニック・・・社長にラヴィーニ氏
    ポリプラ・エボニックの社長にヴィトー・ラヴィーニ氏が21日付で就任した。前職はシンガポールエボニック(SEA)ビジネスディレクター。
    金井産社長は退任した。
    ヴィトー・ラヴィーニ氏 サンパウロ大学(化学工業専攻)卒。ブラジル出身、48歳。

 

  • ダウ・ケミカル日本・・・社長にトラスラー氏
    ダウ・ケミカル日本は現ダウ本社パッケージング・アンド・スペシャルティプラスチック(P&SP)事業部戦略リーダーのジャロッド・トラスラー氏が4月1日付で社長に就任する。パトリック・マクラウド社長はダウ・コンシューマー・ソリューションズ事業部EMEAI(欧州・中東・アフリカ・インド)地域コマーシャルバイスプレジデントに就任する。
    ジャロッド・トラスラー氏 豪ボンド大学国際関係・国際ビジネス学士卒、12 年ダウ(オーストラリア)入社。20年ポリウレタン事業EMEAIプロダクトマネジャー、22年ダウ米国本社アソシエイト・コーポレートストラテジーディレクター。23年から現職。
  • ダウ・東レ・・・会長CEOに齊藤氏
    ダウ・東レは現ダウ・コンシューマー・ソリューションズ日本・韓国シニアセールスディレクターの斉藤雅則氏が4月1日付で会長兼CEOに就任する。パトリック・マクラウド会長兼CEOはダウ・コンシューマー・ソリューションズ事業部EMEAI(欧州・中東・アフリカ・インド)地域コマーシャルバイスプレジデントに就任する。
    斉藤雅則(さいとう・まさのり)氏 上智大学外国語学部ポルトガル学科卒、01年ダウ日本入社。15年ダウ・エラストマーのポリオレフィンエラストマー・EPDMマーケティング・営業マネジャー(日韓)、17年パッケージング・アンド・スペシャルティプラスチック事業部コマーシャル・ディレクター(同)。24年から現職。
  • 旭化成・・・メタアクリル樹脂(PMMA)を4月21日出荷分から1㌔㌘20 円以上値上げする。

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